学問

暮らしの中の栄養学・・・ラボ第19回

一昨日は、ラボ・トーク・セッションの第19回であった。この極めて個人的でささやかで、それでいて話者・聴者ともに質だけは高いと自負する(笑)イベントも、ふと気が付けば、ほぼ2ヶ月に1度のペースで丸3年を経過し、今回から4年目に入った。すごい…

中村稔『高村光太郎の戦後』をめぐって(続)

中村稔氏の研究は、「王道を行く」というような風格がある。それはどういうことかというと、先行研究を一切気にすることなく、光太郎と茂吉を比較するなら、ひたすら彼ら自身の、もしくは周辺に生きて関係した人々の文章だけを読み込み、それによって論を為…

中村稔『高村光太郎の戦後』をめぐって

先週土曜日の朝日新聞の書評で、中村稔『高村光太郎の戦後』(評者:石川健治。青土社)という本を見つけた。その直後に仙台市内の書店に行ったらあったので、この3日ほどかけて読んだ。 昨年、中村稔『高村光太郎論』(青土社、2018年7月)については…

ついに発刊!・・・『冼星海とその時代』

読者への報告が遅れてしまったが、先週、ようやく私の著書『中国で最初の交響曲作曲家 冼星海とその時代』(アルファベータブックス刊、356ページ、3780円=税込み)が、本の形になった。私の所には11日に届き、出版社からは、19日くらいから書店…

幻の新関温泉(4)

7月14日に、今年の祭礼に参加させていただいた話を書く。 あいにく強い霧雨が降る中、指定された時刻の30分前、一高山の会のSさん、TさんとともにSさんの車で9時半に賽の河原に着いた時には、志鎌さんは既に来ており、新関家の方も間もなくお見えに…

幻の新関温泉(3)

④ 石碑の「毎年7月15日の祭礼」とは? (湯殿山神社の石碑の写真を見せて)この「子孫者必7月15日祭礼行うべし」という文言を、発見者新関家8代目善八が残していますが、今でも毎年新関温泉跡に行かれていると伺ったのですが、本当なんでしょうか? …

幻の新関温泉(2)

② 新関家のルーツは高貴で名門 当主が新関家のルーツを話し始めた。 「祖先の吉綱は1368年に長野の奈良井で生まれ、1393年に山形の若木に流れ着きました。当時は長子が家督を継ぎ、舎弟は自分の主人を探して放浪したようです。長野は木曽源氏と奈良…

幻の新関温泉(1)

7月14~15日、仙台一高の井戸沢小屋に行っていた。例によって、静寂の中で大酒を飲もう、というのではない。「薪バイ」と言って、冬に燃やす薪をエコーラインから担ぎ下ろす労働が主目的である。もっとも、今年は「激しい霧雨」が降るあいにくの天気で…

「一つのメルヘン」(補)

昨日まで、中原中也の代表作であり、なかなか解釈の難しい「一つのメルヘン」について、思うところを書いてきたわけだが、もちろん、授業ではこんな主観的な解説の押しつけはしていない。(1)に書いた程度のことを解説し、生徒がどんなイメージで受け止め…

「一つのメルヘン」(3)

この詩には、文体の問題もある。「~でありました」「~でした」という丁寧語は、独特の雰囲気を作り出している。この事に言及する人は意外に少ない。音楽性の創出(岡井隆)、物語性(指導書)といったあたりを見出すことができるだけである。 私は二つの可…

「一つのメルヘン」(2)

教科書には、教科書会社が作った「指導書」というものが存在する。授業をするための「虎の巻」というやつだ。その「一つのメルヘン」についてのページを見ると、驚くようなことが書いてある。 「主題:鉱物の結晶のような陽が射す無機的な河原に蝶が訪れると…

「一つのメルヘン」(1)

今、1年生で使っている「国語総合」の教科書に、中原中也の「一つのメルヘン」が載っている。もう一人の担当者(凡庸な国語教員ではなく、私が20年以上にわたって尊敬している大先生。既に定年退職されたが、今年講師で来てもらっている)と相談したが、…

「甃のうへ」

気象台の発表による気温はさほど高くないのだが、いかにも梅雨らしいどんよりとしたお天気の日が多く、湿度が高くて、少し動くと汗をかく。相変わらず毎朝、塩釜神社の表参道(200段あまりの石段)を登るのだが、汗ばむのが少しうっとうしくなってきた。 …

蒸気機関車と機械工学・・・ラボ第18回

久しぶりで我が家の庭にキツネが姿を見せた。貧相にやせ細り、尻尾なんかは何者かにかじられたようだ。明けても暮れても狂ったように続いている「復興祈念公園」工事で、いよいよ追い詰められているのでなければいいのだけれど・・・。 さて、昨夜は「ラボ・…

ふふふ・・・私に相談するのが間違い

(昨日と同様、6月14日付「Tr,平居の学年だより№9」より。) 先週、普通科では文系・理系と、それに伴う選択科目について登録してもらった。事前に私に相談に来る人もいたが、私の言うことはたいてい他の先生と違うので、かえって混乱したようだった。ふ…

アメリカ偉いっ!・・・学校は学業の場所

1週間ほど梅雨らしいうっとうしい天気が続くはずだったのに、早速今日は朝から好天。ほとんど「快晴」に近い。 我が家には中学3年の娘がいる。部活はソフトボールだ。昨日から中総体の石巻地区予選が始まったのだが、初日は雨のため順延。今日が初戦となっ…

人間を笑う蝉・・・I was born

県総体二日目は、南蔵王青少年野営場(約650m)からジャンボリーコースを登って宮城県最高峰の屏風岳(1825m)の頂上を踏み、、縦走路を上下しながら刈田岳(1758m)へと歩き、大黒天(1432m)に下りるという厳しいコースだった。部員不…

おいおい本気か?

昨年、母校でもない京都大学について2本の記事を書いた。ひとつはタテカン問題(→こちら)、もうひとつは吉田寮問題(→こちら)だ。共通するのは、京都大学当局の非常に高圧的、一方的な態度についての疑問であり、自由な学風が失われ、学問的な活力が失わ…

病院に連れて行ってあげよう

東洋英和学院の院長だった深井某なる人物が、その論文や著書において重大なねつ造や盗用をしていたとして、懲戒解雇されたという出来事がマスコミを賑わわせている。これは奇っ怪な「事件」である。STAP細胞のような無邪気で未熟な「間違い」などとは比…

「あかつき」復活と宇宙飛行士の教訓

土曜日が授業参観とPTA総会だったので、今日は代休。我が家の桜は満開だし、特に予定もなく、よく晴れて最高の休日となった。海は真っ青。2時半過ぎに「宮城丸」が工業港方面から漁港方面へと走って行った。ああ、水産高校航海類型の遠洋航海実習が間も…

インフルエンザの猛威、または品田悦一氏の万葉理解

今週に入ってから、特にこの2日間は暖かく、桜が一気に満開になった。塩釜神社も我が家も、である。桜の何がいいって、あのなんとも上品で柔らかな色なのだな。朝の塩釜神社は本当に気持ちがいい。 ところが、春爛漫のいい気分とは反対に、学校ではインフル…

紳士的な財団と、~な日本政府

昨日の「平居家花見」は、宣伝不足もあって、いつになく静かな会になると予想していたのだが、蓋を開けてみれば25名(私の家族除く。子供6名)の参加で大盛会。2時から8時半過ぎまで、延々7時間近くも酒を飲み続けることになった。 残念ながら、桜はせ…

Team KUROSHIOの軌跡・・・ラボ第17回

「平居家花見」に先立つ昨晩は、ラボ・トーク・セッション第17回であった(→前回の記事)。今回の話者は、民間企業から初の登場で、ラボ史上最年少、ヤマハ発動機社員の進藤祐太氏(32歳)であった。演題は「Team KUROSHIO(チーム黒潮)の軌跡 ~水深4…

「出典」の当惑

4月も13日になった。朝から快晴。明日は恒例の大イベント「平居家花見」なので、今日は大掃除(今週末遊ぶために、先週インフルエンザにかかったみたい)。朝食を終えると、まずは窓ふきに取りかかった。日陰に入って北からの風に当たっていると肌寒いが…

『福沢諭吉の真実』(2)

石河幹明という人は、慶應義塾を卒業して、1885年に『時事新報』に入社し、1922年まで『時事新報』一筋の生涯を送った。本人は主筆になることを目指したようだが、自分との思想的違いをよく知っていた福沢は、石河を実務者としてのみ評価し、思想家…

『福沢諭吉の真実』(1)

我が家に最も近い書店には、店内に古書のコーナーがある。2週間あまり前のことだが、『時刻表』(笑)を買いに行ったついでに古書コーナーに立ち寄り、100円均一の新書の中に平山洋『福沢諭吉の真実』(文春新書、2005年)という本を見付けた。 私に…

これは「やばい」よ。

新元号が発表になった。私の暗い予想は外れたが、むしろ「令和」の方が更に暗い。世の中の脳天気でおめでたい人たちは、ずいぶん無邪気に騒いでいたようだが、何がめでたいものか。「令」は「命令」の「令」である。出典となった『万葉集』に出てくる「令月…

物作りの楽しさ(近刊予告)

3月ということで、酒を飲む機会が多い。最近、体調が悪くないのをいいことに、飲み方がますます下品(あさましい)で、どうもよくないな、と思っている。音楽を聴いたり、本を読んだりするのにも忙しい。加えて、仕事(新入生受け入れ準備)にも以前より時…

「恋は罪悪ですよ。」

塩釜神社の境内では、今日、子福桜の花が開いた。昨日の河津桜に続いて2種類目である。びっくり! それはともかく、今年度も2年生の現代文を担当している。昨年度は普通科だったが、今年度はビジネス科(2クラス)だ。普通科の現代文は3単位だが、ビジネ…

ロト=シエクルの「春の祭典」(4)

グラズノフは、タネーエフが隣室で自作の交響曲をピアノで演奏するのを壁越しに聴いて、それが終わった瞬間に姿を現し、完全な形でピアノで弾いてみせたそうである。ショスタコーヴィチが述べている逸話だが、一方、そのショスタコーヴィチも、レコードで1…