自然の猛威・・・戻ってきた宮城丸



 今日は朝から、寒い中、宮城丸の出迎えに行っていた。と書けば、特に『それゆけ、水産高校!』などを読んで下さった方は、「え?どうして?」と思うであろう。そう、本来であれば、T2の生徒を乗せた宮城丸は、そろそろハワイ沖でマグロ延縄実習を開始する時期なのである。

 1月8日の開校式後に、体育館で乗船式を行った。10日に荷物を積み込み、11日に出港する予定だった。ところが、出港間際になって発電機の調子が悪いことが分かり、修理のために出港を一日延ばした。12日に出港したところ、今度は配管に亀裂が見つかって13日に引き返してきてしまった。急いで直して、14日に再び出港していったが、爆弾低気圧にぶつかってしまった。天気図を見ながら予期できないことではなかったはずだが、エンジントラブルで日程が遅れていたのと、低気圧の南側を回り込めるだろうという判断で出港したらしい。

 ところが、実際には、想像を絶する気象条件に遭遇してしまった。何しろ、風は驚異の55メートル!船は最大で左に43度傾いた。窓が割れるかも知れないと、深夜に生徒を集めて非常時に備え緊急態勢を取った。なんとか危機は脱したものの、甲板に縛り付けてあった漁具(浮きの類い)はさらわれ、照明は割れ、漁労関係の電気系統が浸水して動かなくなり、舳先が少しゆがんでしまったため、一度帰港せざるを得なくなってしまったということだ。責任云々ということが語られてはいるが、外野の私には何とも言えない。

 傷ついた宮城丸は、今朝9:30に石巻の造船所「ヤマニシ」に戻ってきた。造船所の人が、構造部分に至るまで点検し、修理の見通しを立てるだけでも2日かかるという。指導教官S先生と、航海類型O先生の案内で、どこがどう壊れたのかを見せてもらった。一見ほとんど無傷であるが、よく見ると、確かに照明灯が割れていたり、側壁を支える三角形の鉄材が曲がっていたりする。今更ながら、「自然の猛威」の激しさを見せつけられた感じがした。

 生徒たちは思ったよりも明るく元気だったが、「平居先生でも(←何ですか?この表現)、会うと嬉しい」と言って握手を求めてくる生徒がいたくらいだから、よほど辛かったのだろうと思う。無事に帰ってきたからこそ、「いい経験をしたね」とも声をかけられる。私自身、そのことが妙に嬉しい。

 今後の予定は分からない。生徒はまだ船内待機である。