資格不要?・・・それもまた真実



(2月28日学級通信より)


 宮城丸が出港して、明日で2週間になる。気付いているかも知れないが、事務室前には宮城丸情報用の黒板があって、現在地や航海の様子を知ることが出来る。メールで送られて来る写真も貼りだしてあるので、それらを見ているだけでも楽しい。

 22日には、某君が激しい腹痛を訴え、繰り返し吐いたため、診断と処置を校医にFAXで問い合わせた、という連絡が入った。へぇ!宮城丸で病人が出たら石巻の医師に指示を仰ぐんだ!?私が宮水に来てから、遠洋航海実習もこれで6回目になるが、いまだに発見があって面白い。(某君は結局大事に至ることなく、すぐに回復したらしい。よかった、よかった。)

 ところで、初めてと言えば、船がハワイではなく、沖縄を目指しているというのも初めてのことである。沖縄は近すぎるので寄り道をし、23日に南鳥島、26日に硫黄島に接近、洋上から島の観察をしたらしい。思えば、ハワイは飛行機で簡単に行けるし、実際に行く人も多いが、南鳥島硫黄島を見るチャンスなど、普通の人にはない。

 漁業実習が出来ず、ハワイにも行けなかったのは残念だが、これはこれで貴重な体験だな、と思えるようになった。26日には、クジラにも遭遇!いよいよ、明後日は沖縄(那覇)入港だ。


【資格なんて要らない・・・それもまた真実】

 2月18日、LHRで進路ガイダンスが行われ、各自の希望進路ごとに外部の話を聞いてもらった。翌朝書いてもらったアンケートによれば、「就職・専門学校」グループで聞いた、「資格なんかなくてもいいんだ」という話の印象が強烈だったようだ。日頃から資格取得に関する話が多く、「宮水=資格=就職」などと信じている諸君にしてみれば、価値観がすべて壊れてしまうほどショッキングな話だったのかも知れない。

 しかし、私にとっては、さほど意外な話でもない。世の中には、資格がなければどうにもならない仕事と、なくても出来る仕事がある、というのが第一の理由だが、それだけではない。

 前任校の卒業生にN君というのがいた。彼は、大学の農学部に進学したのだが、就職を考える時期になって、ある事情で知り合い、彼の人間性と能力に惚れ込んだ某社の社長から、入社を強く勧められた。ところがその会社とは会計事務所(監査法人)で、N君が大学で学んでいたこととは、仕事内容がまったく違う。「公認会計士」という、取ることが非常に難しい資格を必要とする会社でもあった。結局、N君はその会社に入り、仕事として「受験勉強」を命じられ、たった1年で公認会計士の資格を取得し、今もその会社でバリバリ働いている(はずである)。

 本当に欲しいと思った人材は何が何でも採用する。仕事に必要な資格はそれから取らせる、その方が、資格はあるけど人間性や能力(ものの考え方、生きる姿勢、発想)で劣っている人を採用するよりも余程いい。人間性とか生きる姿勢、考え方というのは、それほどまでに重要なのである。

 もっとも、諸君には、資格を取った方が楽に就職できるとなれば資格を取る、資格を取らなくても就職できるなら、その方が楽だから資格なんか取らない、という発想をする人が少なくないように見える。「資格なんて必要ない」は真実だ。しかし、その言葉を自分の都合のいいように解釈して楽をしようとする人にとっては真実ではない。その辺を間違えると痛い目に遭うだろう。注意が必要だ。


(その他の記事は省略)


(裏面:2月4日付『朝日新聞』より「〈科学〉災害起こす力桁外れ〜大震災の揺れ 人類消費1.4日分に匹敵」

 平居コメント:表の見方分かるかな?数字は、世界の1日の消費エネルギーを1とした時の、エネルギーの大きさを表している。一番下にある7300年前の巨大火山噴火を例外として、台風のエネルギーの大きさは正に桁違い。それに比べれば、東日本大震災ですらかわいいものだ。自然は偉大である。)