少し生き返った栽培実習場・・・塩蔵わかめを作る



 今日は、N3の諸君が遠洋航海実習に出港して行った。見送りに行きたかったのだけど、仕事の都合で行けなかった。代わりに、というわけでもないけれど、久しぶりで栽培実習場に行った。

 海に面して建っていながら、万石浦という内海であるのと、少しだけ土地が高いのと、微妙な角度との問題で、東日本大震災の時に奇跡的に津波の被害がなかった栽培実習場であるが、地震の揺れで配管や建物が損傷を受けた上、震災の年の5月30日の大雨がポンプ室に流入し、海水循環ポンプが壊れてしまったため、魚介類を飼えなくなってしまった、という話は、『それゆけ、水産高校!』にも書いた。

 震災から2年が経った先月、循環ポンプの修理がようやく終わり、水槽に水が入れられる状態になったという話を聞いた。同じ時期、栽培漁業類型の某先生から、「平居先生、最近ちょっと冷たいんじゃない?たまには実習場見に来てよ・・・」などと声をかけられた。気にはしつつ、本当に時間的余裕がないというだけの理由で、実習場には足を運べずにいた。そして今日、A2の諸君が、4時間がかりでわかめを処理すると聞いたので、ちょっと見てみるかと、重い腰を上げたのである。

 実習場に入ると、水槽に注ぎ込まれる水の音が聞こえた。見れば、一部の水槽には既に水が入れられていた。その一つに、牡鹿半島小渕浜から運んできた多量のわかめが入れてある。生徒はそれをすくい出し、加工室に運んで、めかぶを切り取る作業と、普通のわかめをゆでる作業に取り組んだ。ゆでたわかめは塩をまぶして塩蔵わかめにし、200グラムずつ小袋に入れて「宮水わかめ」と印刷されたしゃれたラベルを貼れば完成である。隣接する第2グランドに建つ仮設住宅に配りに行く。私も塩蔵わかめと生のめかぶをごっそり頂いてご機嫌であった。

さて、水槽に水は入ったものの、魚はまだいない。定置網の具合が悪く、いい魚を生きた状態で入手できずにいるのだそうな。これに魚が入れば、一気に宮水全体が生き返ったようになるだろう。生徒も、私の座学の授業では絶対に見ることの出来ないいい表情でてきぱき仕事をしていた。やっぱり手足を使ってこそ水産高校なのだ、と思った。