宮水は県外から受けられるか?



 先週の土曜日は、気仙沼で行われた公立高校合同説明会に参加して、営業活動に励んできた。県内7箇所で行われた説明会の最後となる。あいにくの天候(一時はゲリラ豪雨的な土砂降り)だったこともあったりなどして、来場者は少なく、声かけなどしてみたものの、宮水ブースで話を聞いてくれた人は8名(これでも7校中3番目)。営業時間は4時間だから、閑古鳥が鳴いていたのは確かだが、数の問題ではないな、とも思う。やる気のない100人を相手にするよりは、数が少なくても目を輝かせて話を聞いてくれる人を相手にするのは楽しい。

 ところで、先日、ネットである水産高校のことを調べようとしていたところ、「県外の水産高校受験の記録」というブログを見つけた(→ http://testedquality.hatenablog.com/ )。水産高校のない埼玉県在住のある方(母親)が、水産高校入学を希望するご子息と共に、右往左往した記録である。県外からの受験生を受け入れているということと、寮があることという二つの条件に従い、最終的には山口県立大津緑洋高校(旧山口県立水産高校)に入学を果たすのだが、この後に続く水産高校や水産業に関するデータ調べ、始まったご子息の高校生活のことまで含めて、なかなかの力作である(『それゆけ、水産高校!』の感想文もある!)。

 宮水にも、今春は県外からの進学者がいたし、先日開催した「オーシャンキャンパス」で、宮城丸の体験乗船には、県外から3組もの申し込みがあった。にもかかわらず、実は、県外から宮水を受けようとする時、どんな条件や書類があるのか、真面目に考えたことはなかった。あわてて調べてみると、あえて県外にある宮水を受けようとする理由を12月に提出して審査を受け、認められれば受験できる、どのような理由なら認められるかは一切示されていない、ということが分かった(宮水の規則ではなく、県の規則)。宮水以前に勤務していた学校も含めて、今までに見聞きした県外からの受験生は、全て一家転住の予定があるから、ということだったので、あまり問題になることなく認められていたわけで、それ以外の理由ならどうなるかは見当が付かない。ちなみに、大津緑洋高校が認めたのは、埼玉県に水産高校がないという理由らしい。例えば、これが、水産高校はあるけど、希望する類型がない、という場合だったらどうなるのか?といった疑問は浮かんでくる。ともかく、このブログの中に書かれていることは、非常に新鮮な視点をもたらしてくれたわけで、私はプリントアウトすると、宮水の管理職や情報宣伝担当者に回覧してもらった。

 ブログの執筆者も書いているとおり、県税で運営している高校が、他県からの生徒を受け入れるのは、決していいことではないだろう。私も、少しでも優秀な生徒を確保するために、宮水も情宣の範囲を県外に拡大すべきだ、などと考えるわけではない。だが、一家転住以外の理由を一切認めないのも狭量に過ぎる、とは思う。お互い様、ということも起こり得るだろうし、異質なものが入ることは、あらゆる集団で、その集団を活性化させることになるに違いない。もちろんこれは、県内で石巻地区以外からの生徒を受け入れる時にも当てはまる考え方だ。

 県内7箇所での公立高校合同説明会は、その地区の高校だけが参加するのが原則だ。水産科を有する高校は県内に2校。ただし気仙沼向洋高校は、宮水の新類型名でいうと「航海技術」「フードビジネス」に相当する類型しか持っていない。「調理」「生物環境」「機関工学」は宮水だけの類型である。それが、県内全域で周知活動をするのはおかしなことではない。だが、一部の地域では、「少子化・過疎化で困っているのに、この地域から生徒を奪うのか?」と言わんばかりのうさんくさい顔で見られ、一部の地域では、来春学科改編があるから今年は特別、という扱いであった。もちろん、「来年はナシね」ということであろう。15歳の子に下宿生活をさせるのがいいのかどうかは分からない、長時間通学はよくないと思う。しかし、ある程度の流動性があることは活力をもたらすことにもなるし、本当に水産業を支え、引っ張ることのできる人材を輩出することも必要だ。どうするのが本当にいいのか、結局分からないのだけれど、本当に勉強する気のある人だけが学校に来る、そういう状態を作らなければならないのだけは確かだと思う。