遠漕復活!!



(9月12日付け学級通信より)


 日が短くなり、秋の気配がずいぶん濃くなってきた。海洋総合科1年生は、今週、カッター実習総仕上げの「遠漕」である。天候に恵まれて、昨日までに実施した2クラスについては、とても気持ちの良いイベントになったようだ。

 宮水の『100周年記念誌』を読むと、昔の遠漕は苛酷で、泊まりがけで松島や金華山にまで足を伸ばしていたらしい。生徒も先生も弱くなったということか、学校が萎縮してリスクを避けたがっているということか、いつからかは分からないが、近年は小竹浜が目的地となっていた。カッターで片道2時間である。

 「近年」とは書いたものの、もちろん、震災があった諸君が1年の年は、カッターが大破したために、遠漕どころか、カッター実習そのものがほとんどできず、昨年は、カッター実習こそある程度できるようになったものの、仮設校舎から通っての実習ということで、時間的制約が厳しく、浜の復旧状況の問題もあって、やはり遠漕は実施されなかった。だから、遠漕が行われるのは震災後初めてである。

 今年は遠漕をする、という話は7月から聞いていた。しかし、その時は、佐須〜小竹浜が災害発生時に着岸する場所もなくて危険だから、万石浦内での実施を検討する、ということだった。岸に沿ってぐるりと一回りしても、せいぜい2時間といったところだろう。私自身は、哀しさと不満とを感じていた。世の中全体で、「防災」ということが、とても頻繁に話題になる。地震津波のような、発生確率が低いことについて、そんなに心配してどうするのかな?と私なんかは思う。起こる確率がせいぜい万に一つくらいであろう大規模災害を恐れて萎縮し、日常生活を四六時中制限して、のびのびとした喜びや成長のチャンスまで放棄することのマイナスはあまりにも大きい。とはいえ、指導の当事者でない私は、何も言えずにいた。

 だから、直前になって「今年の遠漕は小竹浜だ」という話が耳に入った時、私は本当に嬉しかった。「波には学ぶ吾が友の、男子の意気をここに見よ」(宮水校歌)。外洋で逞しくカッターを漕いでこそ、宮水生が生きてくる。宮水全体が息を吹き返したような晴れ晴れとした気分になった。


【辞めない覚悟を持って行け!】

 模擬面接の前半が終わった。いろいろと厳しい指導を受けた人もいるようだが、ありがたいことである。金曜日の結団式を経て、来週からはいよいよ本番。事前の準備の煩わしさを思い出す時、何回落ちてもいいや、という人は多分いないだろう。

 ところで、今年度に入ってからの面談の際、就職斡旋願いの提出の際、私は諸君に「就職したら、辞めずに続ける気あるよな?」という念押しを繰り返してきた。幸いにして、返事をためらう人はおらず、全ての諸君が「もちろんです」みたいなことを言ってくれた。気に入らないことがあれば辞めればいいや、なんて思っていたら、困難を乗り越えるエネルギーなんて絶対に湧いて来ないからね。

 会社に入ってからの話ではない。就職試験を受けるにしても、落ちたら他を探せばいいや、という気持ちを持たないだけでなく、この会社に入る、入ったら絶対に辞めない、と覚悟しなければ、本気で自分を売り込むことなんか出来ない。これは、「逃げない」ことの延長線上である。


【「ありがとう」が人間の出来を表す・・・】

 先週の土曜日、ラグビーの花園予選を見に行って感動した、という話は月曜日にした。本当に、めったに見ることの出来ない白熱した好ゲームだった。次は1ヶ月あまりおいて、10月17日に仙台育英戦だ。育英は、目下、県大会で17連覇中の強豪で、宮水×利府戦の直前に行われた気仙沼向洋戦でも、97対0で圧勝していた。しかし、この育英も、全国大会ではほとんど勝てない。同じ高校生でもあることだし、始めからあきらめてしまったりせず、一泡吹かせて欲しいなぁ、と思う。

 ところで、利府戦明けの月曜日、私は朝から、まずM先生に「一昨日は応援ありがとうございました」と深々と頭を下げられた。次はS先生だ。一方、生徒の方は、当日言葉を交わして、私がいたことを間違いなく知っていた生徒も含めて、「ありがとう」と言ってくれた人は皆無だった。もちろん、そんなことを言ってもらうために行ったわけではないので、別に気にしているわけでもないのだが、一人の大人として、やっぱり変だ、と思う。

 前々回、就職書類の準備との関係で、「ありがとう」は言い過ぎのない言葉だ、ということを書いた。「ありがとう」は人の素直さ、謙虚さを表す。それは、「伸びる力」とほとんど同じ意味だ。顧問と生徒の人間の出来の違いは、こんな所に表れている。もしかすると、育英に勝てるかどうかも、こんな所に行き着くのではないか?


(裏面:9月8日付け『朝日新聞』より、「温暖化 暴れる天気」を引用

平居コメント:う〜ん、やっぱり自家用車や飛行機や自販機、ペットボトル、使い捨て弁当箱・・・全部まずいよなぁ。)