(12月19日付け学級通信より 2)
【「高名の木登り」という話・・・】
これは『徒然草』(←読めるよな?)にある有名な話で、さすがの諸君も一度くらいは聞いたことがあるのではないか?と思う。およその内容は以下の通りだ。
「有名な木登りの名人が、弟子を木に登らせて枝を切らせていた時、上にいる時は何も言わず、軒の高さくらいまで降りてきた時に、「失敗するな、注意して下りろ」と言葉をかけた。私(←誰か分かるよな?)はそれを聞いて、「もう飛び降りても大丈夫だろうに、どうしてそんなことを言うのか?」と尋ねたところ、名人は「危ない所にいる時は、自分で危ないと分かっているので私は注意しません。事故は安全だと思っている所で必ず起きるものです」と答えたので、理にかなっていると感心した。」
昨朝話したとおり、後期中間考査で赤点を取った14名のうち、追指導願いを提出したのはわずかに5名だった。多くの諸君は、進路も決まり、後は卒業するだけ、もう大丈夫、という意識がありありと見える。私が諸君を信じて成績説明会に保護者を呼ばなかったのも、なめられる原因になったかと反省(後悔)している。
事故はもう大丈夫と思った時に起こる。そんな諸君にとって、明日から始まる冬休みは危険きわまりない。また繰り返す。「終わりよければ全てよし。」終わりが悪ければ、なにもかも台無しになるのである。
(裏面:12月5日付け『日本経済新聞』より文化「聞け 木こりのブルース〜汗と油と泥のなか、労働の日々から歌を切り出す」(W・C・カラス筆)を引用
平居コメント:音楽は音楽のためにあるのではない。表現したいという気持ちが音楽になる。彼にとっては、木こりという肉体労働の中に音楽があるのであって、労働を離れて音楽は存在しない。気が向いたら、有島武郎の短編小説『生まれ出づる悩み』を読んでみよう。)