人と人とが出会う「縁」



(1月24日付け学級通信より)


 日曜日に年賀状の抽選があった。以前は、これが終わると「お正月もおわったなぁ」という感慨を抱いたものだが、近年は抽選が1週間近く遅くなった上、郵便事情が改善されたと見えて配達が早くなり、10日を過ぎてから届く年賀状なんてほとんどないので、「何を今更!」という少ししらけた気分にさえなる。

 今の高校生は、年賀状など書くこともないのだろうが、年に一度、日頃疎遠な人たちと紙と文字で近況を確かめ合うのは、美しい習慣だと思う。私は、今年も130人ばかりに年賀状を出した。毎年、「この人とは、もう心のつながりも薄れてきたみたいだから出すの止めようかな」と思う人が何人かいる。出すのを止めても、相手からは年賀状が届き、慌てて返信するといったちぐはぐもよく起きる。

 ところが、東日本大震災が起こった後、そのような年賀状だけの付き合いになってしまった人々から、安否を気にかけてもらい、いろいろな形で支援をいただいた。年賀状だけの付き合いでも、一度生まれた「つながり」は大切にしなければならないものだな、とつくづく思った。

 この広い世界の中、しかも短い人生の中で、知り合うことのできる人の数なんてたかが知れている。誰との出会いも、それだけで「奇跡」ということである。「奇跡」が起こったことは「縁」による。その不思議さを思う時、人間関係はますます美しい。諸君の卒業まで、あと37日(登校15日。通常の授業は6日!)。


【やれば楽しい?寒稽古】

 宮水のリニューアル寒稽古も、天候に恵まれてまずまず順調に行われた。私は、月曜日に背中を痛めてしまったことや、「事故処理」があったりして、なかなか全てを見るまでにはならなかったが、見た範囲では、なんだかんだと文句を言いながらも、いい雰囲気だったように思う。今年初めてのやり方がよかったのかどうか、こうして実施する必要のある行事かどうか、それは今後の検討に待つしかない。諸君からも、いろいろな感想を聞かせてほしい。

(余談)

 空手部は今日から東北大会。月曜日の壮行式で行われた実演には感動した。後で見ていた先生方と、やっぱり手間のかかったものは違うなあ、と語り合った。


【こんな授業もいいかも・・・鉄を削る】

 選択現代文の授業で小関智弘「鉄を削る」という文章を読んでいる。小関智弘という人は職人(金属加工)出身の作家で、この文章も、職人が金属を削る時に、どんな風に五官を働かせているか、どれくらいのデリカシーを持っているか、というのがテーマだ。文章の中に、旋盤、フライス盤、バイト、キリコといった用語が出てくるが、それらを実際に知っているのはテクノの諸君だけだ。ならば、校内にそれらがあるのだから見せてもらおう、せっかくだからT先生にプロの技も見せてもらおう、と、火曜日の選択現代文の授業は旋盤実習室(正しくは電気機械基礎応用加工室!)で行った。う〜ん、やっぱり実物・本物の腕を見るのはいい。諸君もT先生の手元を真剣に見つめていた。時にはこんな授業もいいな、と思った。 


(その他の記事は省略)


(裏面:1月8日付け『朝日新聞』より、(ギャンブル依存症の闇:上)「パチンコに消えた3000万円〜給料つぎ込み、仕事失い・・・破産」を引用

平居コメント:諸君も社会に出ると、今以上に様々な誘惑がある。私が思うに、パチンコは立派なギャンブルだ。ギャンブルは麻薬と一緒。自分の意思で抜け出せるくらいなら苦労はない。ギャンブルが、さも一般のゲームと同じような顔をして許されている日本の社会はいかがなものか、とも思う。ま、安易なものにはロクなものがない、ということ。)