タコと闘う



(2月18日付け学級通信より)

 週末、天気予報を見ながら、また大雪になったらどうしよう、と、ビクビクしながら過ごしていたが、杞憂に終わってよかった。1回くらいなら大雪も新鮮だが、もともと町が大雪を想定して作られていないので、移動もままならず、本当にもうこりごりだと思った。しかし、こうして雪で面倒な思いをすると、震災の時と同様、平凡な日常のありがたさが身に染みる。その感覚は忘れずに、日々感謝の気持ちを持って生活せねば・・・と思う。

 ところで、1月の暇なLHRの時に、栽培実習場に見学に行き、タコについて説明したのを覚えている人はいるだろうか?タコ(マダコ)は、その生息域から想像するに、水温が8度以下では生きていられないと考えられていた。しかし、それが本当かどうか、確かめた人はいない。たまたま、外部から生きたタコを50匹あまりもらったし、水槽の温度維持などできないので、この際、確かめてみよう、という話になった。

 1月末から、連日の冷え込みのせいで、タコ水槽の水温はじりじりと下がり、5度近くなったところで最初の死者(死ダコ)が出た。現在、水温は4.5度まで下がっていて、連日のように死ダコが出る。既にその数は15匹を超えた。残りのタコにも絶命の危機が迫っている。タコが耐えられるのは6度まで、ということだ。

 私は、2月7日に死ダコを1匹もらって家に持ち帰った。凍死したばかりのタコなので、食べるのに問題があるわけがない。子どもは大喜びである。ところが、私は丸ままの生ダコを料理したことがない。栽培漁業類型の先生に教えてもらったとおり、塩をたくさんかけてヌメリを取ることから始めたが、これが至難。ヌメリはなかなか取れないし、取れたヌメリは台所の排水口につまるし・・・悪戦苦闘1時間、さすがにもういいだろうと茹でてみると、やっぱりヌメリが残っていたことが分かり、今度はたわしでタコ磨きだ。

 当初は、もうこりごりだという気持ちだったが、やがて、タコにもてあそばれたようで悔しい、という気持ちになってきた。そこで、14日に更に大きなタコをもう1匹もらうと、リベンジすることにした。反省に基づき、今度は台所ではなく外で、塩だけでなく、地面に叩きつけるという荒技まで使ってヌメリ取りだ。とても寒くて冷たかったけれど、今回は上手くいった。わずか20分で、ヌメリは完璧に取れたのである。

 知らないことでも、実際に一度やってみると事情が分かる。1回失敗しても、2回やると、反省に基づいて確実に腕が上がる。無知というのは恐ろしいもので、経験というのは偉大なものだな、と改めて思った。今冬はせっせと牡蠣剥きも練習したし・・・久々に水産高校を楽しませてもらった。


【本当の疑問と問題とを探す・・・課研発表会】

 13日に体育館で行われた課題研究の発表会は、本当に寒くて長い時間だった。外部の方がいたという事情もあったにせよ、1・2年生の話を聞く態度の立派さには感心した。各学科・類型代表のテーマは以下のとおり。

 航海:遠洋航海実習

 食品:製塩研究部 〜塩で復興 希望のひかり〜

 栽培:アクアポニクスの可能性

 テクノ:沿岸漁業の作業能率改善に向けた取り組み

       〜「浜のおじいさんの困った」を改善しよう〜

 情報:音響機器研究 〜イセトアベノミクス

 研究というのは、今の何かに問題があるからそれを解決したい、というのが原点だ。その原点がしっかり確認できている発表は面白いし、そうでなければ、「なんでこんなことしてるの?」で終わってしまう。どれがどうとはコメントしないが、そのことを強く感じた。「情報」の発表は、内容はともかく、I君の「語り」に笑ってしまった。3年間付き合っていても、知らない側面というのはあるものだね、そんな驚きも新たにした。今年確認された課題が来年に受け継がれ、研究が年度を超えて連続した線になると面白い。期待して見ていよう。


(その他の記事は省略)


(裏面:2月11日付け『読売新聞』より 生活調べ隊「持続可能な漁業目指す〜「海のエコラベル」海外で普及」を引用

平居コメント:世界でも魚をよく食べると言われている日本で、MSCラベルの認知度が低く、欧米で高いというのは、一体何を意味するのだろう?

2月15日付け『朝日新聞』より「天声人語」を引用  コメントなし)