船形スキー場



 この3日間、県総体で山へ行っていた。船形山(1500m)である。高体連の山の大会というのは、北蔵王南蔵王、船形山という3年サイクルのローテーションになっていて、今年は南蔵王屏風岳〜刈田岳)の順番であった。ところが、昨年秋から、蔵王火山性微動というのが観測されるようになり、9月の御嶽山爆発の強烈な印象もあって、蔵王への生徒引率は自粛、大会も会場の変更が決定されたのである(1月12日にも書いた→こちら)。

 船形山と言えば、一昨年と同じ会場で、その時には、1日目の宿泊地である升沢森の学舎(旧吉田小学校升沢分校跡)について書いた(→こちら)。今年は、諸般の事情で泉が岳に抜けられなかったこともあって、2泊とも森の学舎であった。校庭全面の芝生がきれいに刈り込まれ、周囲の森も美しく、やかましいほどにいろいろな野鳥がさえずって、正に桃源郷だな、と改めて思った。(そばは打たなかった)

 昨年(→こちら)と打って変わって、素晴らしい天気に恵まれた3日間だった。土曜日の午前中こそ、少し時雨れ気味だったが、私たちが歩き始める頃から青空が広がり始め、2日目は正に雲一つない快晴。日射しが強くて少し暑かったが、空気が乾き、そよそよと風が吹いて、日陰で休んでいるとすぐに汗が引いた。3日目も快晴だったが、閉会式の頃になって雲が広がり、蒸し暑さが感じられるようになってきた。つまり、最も天気がいい時に、どんぴしゃ大会が重なったわけだ。

 多少の体調不良者は出たものの、リタイアして森の学舎の芝生の上でゴロゴロしているのも快適とあって、まずまずいい大会になったのではないかと思う。

 ところで、森の学舎から旗坂方面に少し行ったところに、右へ向けて「船形スキー場→」という比較的新しい鉄製の標識が出ている。現在営業していないことは間違いないが、どんなスキー場なのか、いつまで営業していたのか・・・なんだか気になるなぁ。

 私は、自分の仕事の都合で見に行けなかったが、係分担の都合で事情の許した人が、2名ほど探検に行ったらしい。どこがゲレンデだったのかさえ分からないほど草木が茂っているが、レストハウスだったと思しき小さな廃屋と、ゲレンデ整備用と思しき「上野々スキー場」のロゴが入った車が放置されていたそうである。

 いったいいつまで営業していたのか、山岳部顧問歴46年のY先生もご存じなかった。自宅に戻ってから、ネットで検索してみたら、大和町掲示板のようなところで、「やまばと」という人の質問に町の職員が答えて、次のように書いている(→原文はこちら)。

「船形スキー場は、民間のスキー愛好者の方々土地を借りて、ロープトゥーを設置し冬期間の休日のみオープンしていたものです。

 しかし、町の中央部からスキー場入口までは、自家用車に以外に異動の手段がありませんでしたし県道からスキー場までは、結構な距離を徒歩で移動する必要がありました。

最近の運営状況について、役場の観光担当のほうにも情報がない状況です。」

続けて「やまばと」氏は「自己解決しました。船形スキー場は数年前に閉鎖されたそうです」と書いている。このやり取りが、2006年のことなので、この情報を信用すれば、21世紀の初めころまで営業されていたことになる。

 王城寺原でのアメリカ軍演習との関係で、升沢の住民が集団移転に合意したのは1997年である。升沢から住民がすべていなくなったのがいつかはよく分からないが、おそらく21世紀に入って間もなくの頃なので、それと前後して船形スキー場は閉鎖されたのだろう。

 我が家の書架を探したら、『改訂船形連峰御所山案内』(船形連峰御所山開発促進期成同盟会、1987年)という本に、スキー場についての詳しい記述を見つけることが出来た。もちろん、この時はまだ営業しているが、基本的に会員による会員のためのスキー場であり、「営業」という言葉のそぐわない施設だったようだ。おそらく今や手に入らない本なので、資料として一部を引かせてもらう。


《山深く、スキー仲間の船形スキー場》

(解説部分)

「(前略)高低差100m内外の傾斜地採単地(平居注:意味不明。「採草地」の誤植か?)並びに高冷地野菜畠として開発された所で、その南北斜面の変化と積雪をうまくつかってスキー場が設けられている。(中略)

 シーズン12月末から3月末まででバラックではあるが休憩棟があり、一般利用者は一日1人当り1000円の施設使用料で、昼ブタ汁、3時のコーヒータイムのサービスなどがあるのが嬉しい。(中略)

 ただ一つの難点は、足の便が無いことで自家用車の場合はスキー場の路上駐車約40台まで可能である。バスを利用される人は中継地点吉岡より沢渡行きに乗り終着より歩く外はない。所要時間約2時間を要する。(後略)」 

(資料部分)

標高 604m  面積 約2ha

駐車場 路上駐車 約40台

スロープ及び斜面の方向 南斜面 250m(Tバーリフトあり)

            北斜面 300m

            初心者コース 3本 80m

平均斜度 22度

雪質・積雪量 粉雪、積雪量も多い。県内の外のスキー場に降雪しない時も積雪量は安定している。

スキー講習会 年末年始に船形荘他6軒に民宿 昭和61年度は180名参加

運営 船形スキー山岳会 会員28名

シーズン 12月末日曜日〜3月末日曜日

毎回 会員以外50〜60名のスキー客有り

一般利用 1日1人1000円 施設使用料

  昼ブタ汁 3時のコーヒータイムのサービス


 いずれ個人で船形山に行く機会があれば、訪ねてみよう。そう言えば、近くに船形神社というのがあって、こちらも訪ねたことがない。頂上に登るだけが山でもないだろう。足もとを見ていなかったのは迂闊だった。