久しぶりの蔵王



 3連休初日は、宮水のオーシャンキャンパスで学校。宮水(私が勤務する宮城県水産高校)では学校で行う9月のオープンキャンパスに対して、海の日にちなんだ7月の学校開放行事をオーシャンキャンパスと称し、宮城丸の体験航海を始め、海で行うことにしている。ところが、何かにつけてトラブルのネタとなる防潮堤工事のため、今年は例年の会場である艇庫が使えず、体育館その他での実施となった。台風による影響をずいぶん心配したけれど、幸い、日本海に抜けて熱帯低気圧となり、宮城丸は出港ができた。しかし、その他の企画が体育館では、どうも盛り上がりに欠けるし、オープンキャンパスや文化祭との差別化も難しい。困ったものだな。

 後半の2日間は、前任校の山岳部生徒引率で山に行っていた。他のOBも手が空いていたし、私がわざわざ付いて行く必要もないと思ったが、3年生の引退山行だと言うから、敬意を表するためにいったのである。しかも、目的地はなんと「蔵王」!

 宮城県民にとってありきたりの山である蔵王に、どうしてこんなもったいぶった表現をするかと言えば、言うまでもなく、火山性微動が観測され、噴火の危険があるとかで、昨秋以来、高体連登山専門部では蔵王への入山を自粛とし、総体の会場も山域を変更するなどしてきたからである。(→参考記事

 今年4月13日から6月16日の2ヶ月間は、気象庁が警戒警報を出していた。警戒警報が解除されたとは言え、そんなものが出る以前から「自粛」だったわけだから、高校生を蔵王に連れて行くのはまだ難しそうなものだが、火山性微動も現在はほとんど観測されていないし、保護者も問題にしていないということで、今回の山行が実現した。さすがに少々感慨深い。山道も山小屋も荒れていないかなぁ?と少々心配しながら出発した。

 19日(日)は、聖山平11:50―股窪―澄川源頭―15:45井戸沢小屋

 20日(月)は、井戸沢小屋6:15―刈田峠―屏風岳―不忘山―13:15白石スキー場

 天候が心配されたが、19日は上々。股窪―澄川源頭は以前から道の荒廃が指摘されていた。どの程度荒れているのか、今回はその調査も目的としていた。確かに、多少藪がかってはいるが、道がどこに付いているかが分からなくなるというほどのことはなかった。十分に普通の山道である。むしろ、澄川を徒渉してから、金吹沢付近の道の方が探すのには苦労した。しかも、もともとではあるが、急斜面の足場の悪い道である。

 今日の天気は心配していなかったが、夜中、目を覚ますと雨の音が聞こえていた。朝になっても止まない。結局、下山するまで雨は降り続いた。

 雨の山は、それなりの風情があるが、やはり濡れることの不愉快はいかんともし難い。しかも、レインウェアというものを着ると、いくらゴアテックスでも暑いのである。加えて、不忘山からの下り。これはえぐれた粘土の最悪の登山道である。私はしばらく前に、登山道の改修工事が完成したと聞いていたのだが、それは弘法清水前後のわずかの区間で、あとはぬるぬるつるつるのままであった。足を下ろす位置を慎重に見極め、木にしがみつきながら下りる。つるりと滑るのは一瞬のことである。滑って転べば全身泥まみれとなる。全神経を集中させながら、足で突っ張り、手でしがみつくという2時間は本当に疲れた。やはり、雨の日に山に行くのは嫌だな。

 山小屋は思ったほど荒れてはいなかった。今日の不愉快な山行も、夏山合宿を控えた現役生徒諸君にはいいトレーニングだっただろう。3年生も無事引退できたし、よかったよかった。