女の時代



 古くは日本国憲法に「両性の本質的平等」が明記され(→関連記事)、その後は「ウーマンリブ」やら「男女共同参画社会」やら、そして最近は政府主導による「女性の地位向上」やら、女性を男性と同権とし、その活力を高めようという声は大きい。しかし、これらは社会制度に関する部分が大きく、実生活における男女の力関係というのは、それとは別に存在するという実感を持つ人は多いのではあるまいか? 我が家も例外ではないし(?)、登山の大会に行けば、女子の方が男子よりも強いと感じることは多い。日頃の学校生活において、男子生徒が女子生徒に遠慮がちに生活していること、いや、もっと有り体に言えば「萎縮」していることは、客観的な事実であるように思う。私が20年近くも男子校にいて、「情けない男子の姿を見なくて済むのは、精神衛生上甚だよろしい」とうそぶいていたのも、そのことと無関係ではない。

 さて、もはや10日ほど前のことになるが、10月29日(木)、我が宮水の体育館で「第24回全国水産・海洋高等学校生徒研究発表大会東北地区大会」というイベントが開催された。東北六県に9校ある水産高校(水産科を持つ学校)の生徒代表が集まり、研究発表をするというイベントである。午前中4時間、宮水の生徒は全員で発表を聞く。

 発表の詳細については省略するが、なんだか女子生徒の声ばかりを聞いていたような気がしたので、少し調べてみた。発表した9校のうち、女子が話をしていた学校が6校あった。発表は、発表者1名とパソコン操作などをする協力者1〜2名からなるチームで行われる。協力者も含めて、ステージに上った生徒は23名。そのうち女子は13名、男子は10名だった。最初から最後まで女子生徒の話を聞いていたような気がした割に、女子は多くないなと思った。

 しかし、何しろ水産高校である。もともと女生徒の割合が普通科や商業科に比べると少ない。9校の水産科に在籍している生徒数は合計2021名で、そのうち女子は580名。28.7%に過ぎない。このことを念頭に6名/9校(66.7%)、13名/23名(56.5%)という数字を見ると、女子の存在感は俄然高くなる。さらに、選出された最優秀賞1校(全国大会に出場)、優秀賞2校を見ると、全て女子が発表した学校だ。

 女子の声の方がマイクを通した時に明瞭に聞き取れるため、各学校とも戦略的に女子を発表者に立てたということも、もしかするとあるかも知れないが、決してそれだけではあるまい。女子の方が前向きで、活動的で、粘り強い、だから立派な研究をするという傾向が明らかにあるように思う。

 生物学的にメスが強いのかどうかは、種による違いもあるだろうし、あまり軽率には言えない。だが、環境ホルモンによる汚染に関して、『メス化する自然』という本もあることだし、社会・自然両方の様々な原因によって、女性が優勢という状況は強まっているのではあるまいか、と思う。こんなことを言うと叱られるかも知れないが、案外、男尊女卑的な社会制度や思想があって初めて、男女の力関係は釣り合うのかも知れない、などど妄想する。それほど、大会での女生徒の存在感は大きかった。