ナンクロ塩飴

 宮水食品科学類型3年生が開発した「ナンクロ塩飴」というものが、間もなく発売になる。それに先だって、一昨日、報道各社を招いての商品説明会が行われた。
 私は、この名前を聞いた時、「ナンクロ」は何の略だろう?そういえば「ナンプレ」という数字ゲームがあったよな。それと関係あるのかな?似たような略語かな?などと頭を悩ませた。そして、説明会の会場である宮水会議室に向かったのである。
 「ナンクロ」とは「ナンノクロロプシス」の略で、ナンクロとは直径2〜5マイクロメートルの海産緑藻類だそうである。EPA(エイコサペンタエン酸)やパルミトレイン酸といった栄養物質を多く含み、油分含有量も多いため、バイオ燃料の原料としても世界の注目を集める期待の星なのだそうだ。しかも、他の緑藻類と違うのは、冷たい海でもよく育つという点らしい。だから、東北にはぴったりということで、2013年7月、牡鹿半島十八鳴浜(くぐなりはま)にパイロットファームが作られ、2014年7月からサプリメントとしての出荷が始まったそうだ。
 宮水では、この地元産の栄養物質に目を付け、ナンクロという地元産品の知名度アップも狙って商品化できないかを模索してきた。そして、その結果が、今回発売される「ナンクロ塩飴」だそうだ。
 ナンクロは、栄養価が高く、緑色がきれいで、加熱しても色が変わらないといった利点がある反面、今のところ値段も高く(1キロ2万5千円)、使いすぎると不快な藻臭さが発生するという欠点がある。それらのバランスを調整するのはなかなか大変だったらしい。飴にしたというのは、販売の便を考えて常温で長期保存の利くものとしての選択だということだ。さらに、付加価値を高めるため、学校近くの万石浦で作られる「伊達の旨塩」を入れることにした。
 紆余曲折は多少あったものの、最終的には蔵王町の昔飴本舗という会社が製造し(あてにしていた石巻の飴屋さんが、震災で廃業してしまったため)、スメーブジャパンという会社がパッケージと営業を受け持つことで、商品化は実現した。
 説明会では、当然、試食品が配られた。食べてみたが、何の特徴もないただの飴である。藻臭さもない代わりに、魅力的な風味もない。含まれている栄養物質に価値があり、それらは無味無臭なのだから、これは仕方のないことであろう。色は草餅のようで、素朴ないい感じだ。パッケージには、かわいらしい乙姫様の絵が描かれている。これは、スメーブジャパンがかつてタブレット商品を発売する時に、デザイナーに頼んで作ってもらったものであるが、ナンクロを作っている工場近くの金華山界隈に竜宮伝説があることを考えて、流用したのだそうだ。
 80グラム(約18個)入り、ナンクロ含有率0.16%で、税別400円だそうである。高いか?安いか?それは買って食べて判断して欲しい。早ければ、今週末にも三陸自動車道河北IC近くにある道の駅「上品の郷(じょうぼんのさと)」で発売になるそうだ(順次、販路を拡大。基本はお土産用)。