仙台中央卸売市場を訪ねる(1)

 お久しぶりです。気が付けば、なんとびっくり3週間のご無沙汰でした。ちょっと夜の多忙が一段落したので、少し(一時的に?)ペースを戻します。


 この間、事情があって、ブログの更新も出来なかったわけだが、どこかに籠もっていた、ということではなく、けっこうパタパタと動き回っていた。何しろ、専門高校(昔で言う実業高校)の就職係なので、7月1日に高校生の就職活動が解禁になると、校務も甚だ多忙なのである。この20日間で宮水に届いた求人票は海・陸合わせて700を超えた。売り手市場とさんざん言われた昨年度でさえ、年度末までで900ちょっとだから、今年のペースは尋常ではない。
 7月11日(月)放課後、船舶就職者のためのガイダンスというのを校内で開催した。参加した生徒は、なんと43名。これは今年の宮水の就職希望者の約半数である。例年の2倍だ。講師を東北内航海運組合と全日本海員組合にお願いしたところ、南は岡山県の日生(ひなせ)から、北は石巻まで、広い範囲から10人以上の方(ほとんどが社長さん)が来校された。依頼の文書を出しておきながら、交通費も謝礼も一切出さないのに、である。おそらく、水産高校の外にいる人には分からない世界だろうが、日本の船員の高齢化、人手不足というのは本当に深刻なのだ、ということを実感する。
 会の終了後、横浜の某船会社の社長さんの車で、生徒1名とともに、仙台まで送っていただいた。生物環境類型3年生の見学実習に交ぜてもらう約束になっていたからである。ガイダンスに出席した1名の生徒以外は、放課後、既にバスで仙台に移動していた。
 7月12日(火)、バスは宿を5:20に出発した。目指すは仙台中央卸売市場である。実は、この類型の仙台中央卸売市場への見学実習は、昨年まで日帰りだった。ところが、朝、学校に集まってからバスで出発すると、市場に着くのが10時頃で、競りは全て終わり、仲卸も通って、品物は各小売店に運ばれてしまった後になる。物が何もないガランとした市場を、市職員の説明を聞きながら回るのは、なんともつまらない。そこで、市場関係への就職者を増やすためにも、市場が一番活気ある時間帯に連れて行こう、と、授業が終わってから仙台に前泊というぜいたくなやり方にしたのである。
 まだほとんど車の走っていない仙台市街地をスイスイと通過し、市場に着いたのは5:40だった。競りは6時に始まる。市職員の案内で、水産物部(市場は大きく水産と青果に分かれている。花きと食肉は別の場所)2階の見学通路からその様子を見る。本当にびっくり仰天。いろいろな港から届いた物だけではなく、輸入品も含まれるらしいが、昨年度の水揚げ高全国8位の石巻港って何なの?という感じ。仙台の方が圧倒的に物が豊かだ。王者・マグロは別格。低温保存の出来る特別スペースに40本ほど並んでいた。年末にはそのスペースにびっしり並ぶと言うから、おそらく200本は下らないだろう。想像しただけで壮観である。6時には、何をやっているのか全然分からない競りが始まった。競り落とされるたびに、マグロは外へと運び出されていく。
 20分ほど見てから、教員だけで1階に下りる。競りをしていた場所の南側に、仲卸の店がたくさん並んでいる。競り落とされた魚介類が、ここで小売業者に買い取られ、市内各地へ運ばれていくのだ。マグロのような大物は、ここで解体して小分けにする。あちらこちらで、イベントの「マグロ解体ショー」のようなことが、極めて日常的な作業として行われていた。黒光りしてよく肥えたマグロの美しさと迫力、仕事をしている人の手際の良さもさることながら、大きな包丁の恐ろしいほどの切れ味が印象に残った。(続く)