「ちきゅう」が来た!

 暑い一日だった。仙台では最高気温が35.3度にもなった。宮城県の北の端、気仙沼でも33度を超えたらしい。ところが、我が石巻は29.3度。仙台と6度違う!今までも何度となく、石巻は全国で最も気候がいい、と書いたけれども、本当にすごい所である。気仙沼なんて、石巻より北にあり、同様に海に面し、目の前を流れているのは石巻と違って寒流なのに、どうして石巻よりも気温が上がるんだろう???

 さて、今年の4月、「しんかい6500」を見に横須賀まで行った話を書いた(→こちら)のだが、その際、実は「ちきゅう」という船(海底掘削船、56000トン)をどうしても見てみたい、しかし、コネがないので一般公開でしか見に行けない、そんなチャンスがいつあるか分からない・・・みたいな話を書いた。
 そしたところ、なんと半年も経たないうちに、その機会がやって来た。しかも、我が家のすぐ近くで!!石巻工業港では、毎年、「港湾感謝祭」というイベントがあって、ゲストシップとも言うべき特別な船が来港し、見学やら、展帆やらが行われる。そして、今年はそのゲストシップが「ちきゅう」だったのだ。先月、そのことを市報で知って驚喜し、私は翌日の朝には往復はがきで見学申し込みをして、この日を心待ちにしていた。
 昨朝、町内会の夏祭りの準備に行った際、私は既に「ちきゅう」のドリルタワー(「デリック」が正式名称。海面からの高さ130m=30階建てのビル!)がそそり立っているのを見つけた。19日のうちに入港したらしい。我が家から歩くと30分あまり(車だと5分)かかる雲雀野埠頭(先日、リボーン・フェスティバルをやった所)に係留されているのだが、なるほど大きい。私は我慢できずに、午後から、雲雀野埠頭に行った。圧倒的な迫力である。この船によって、人類は初めてマントルまで掘り進むことが可能となった(まだ実現していないけど・・・)。現代科学という抽象的な概念が、姿形を獲得したのがこの船だ、という感じだ。
 今日が港湾感謝祭の本番。友人家族と、指定された3時に埠頭に行って、見学させてもらった。とは言っても、あの巨大な工場船を隅から隅まで見られるわけもなく、ブリッジとラボが中心だったが、見学経路上にJAMSTEC(日本海洋研究開発機構)の職員がたくさんいて、親切に質問に答えてくれるので、子供たちが先に行ってしまうのも気にせず、あれこれ質問しながらじっくり回った。だけど、やっぱり半日くらいかけて、もっとしっかり探検したいなぁ。
 下船してから、『地球深部探査船「ちきゅう」誕生10周年記念誌』(JAMSTECの情報誌『Blue Earth』の特別版)を買った。まず、建造のプロセスに度肝を抜かれる。たった500円の本なのに、その後も読みごたえのありそうな記事が満載で、夢中になってしまいそうだ。実は、明日、私は仙台港で自動車運搬船を見せていただくことになっているので、往復の列車の中でゆっくり読もう、と思って、とりあえず本を閉じた。
 子供たちの「理科離れ」が言われるようになって久しい。学校の授業を工夫するのもいいけれど、本当は、小中学生全員にこの船を見学させるくらいのことをすれば、その方がよほどインパクトがあるのに、と思う。我が家は、子供たちが、例によって野球の試合で、その終了が「ちきゅう」見学に間に合うかどうか冷や冷やした。年から年中、野球の試合ばかりしている場合じゃないだろ、少年野球のメンバーも「ちきゅう」くらい見に連れて行けばいいのに。もちろん、そんなことを考えている人は誰もおらず、試合会場から「ちきゅう」に駆けつけた(子供の側から見ると、駆けつけさせられた)子供も、我が家だけだった。これは貧しいのか、私の趣味と違うだけなのか・・・?