カタログギフト

 宅配便最大手のヤマト運輸が、荷受けの制限を始めるらしい。ネット通販の繁盛に従って、荷物の取扱量が急激な右肩上がりで増えた結果、限界に達したらしい。どのような形で荷受けを制限するのか、実際にやろうと思うと案外難しいのではないかと思うが、宅配便が増え続けるよりはよほどいい。どの程度のことをするのか、楽しみに見ていたいと思う。もっとも、ヤマト運輸の荷取扱量が減った分だけ、他社が増えた、では話にならない。
 ところで、日曜日に知人の結婚式に出席していた妻が、帰宅して引き出物の袋を開けると、例によって、と言うべきか、カタログギフトなるものが出てきた。最近は、昔のように盛大に人を招いての披露宴というのがめっきり少なくなったので、結婚式に呼ばれる回数も多くはないが、行けば引き出物はほとんどカタログギフトだ。
 私などは、この途方もない無駄にめまいと吐き気とを覚える。計ってみると、妻が持ち帰ってきた厚さ1.5㎝、なんと410ページもあるカタログの重さは650gだった。中にいくつの商品が載っているのか、あまりにも多すぎて見当もつかない。1ページに2〜4くらいは載っているから、1000以上あることだけは間違いがない。その中から一つを選ぶと宅配便で配達される。確かに、要りもしないものをもらってゴミにするよりはいいのかも知れないが、例えば、「神戸ビーフすき焼き用」を選ぶと、モモ肉とバラ肉ミックスで、カタログよりもはるかに軽いたった200g(!)の牛肉が届くらしい。
 200gの牛肉を手に入れるために、一度見て捨てるだけの上質紙650gと、その輸送、更には肉を冷凍便で届けるためのエネルギーといったものを考えると、消費は浪費であり、それによって経済が回る、ということを本当に実感する。3000円くらいの安いギフトなのだろうが、こんな膨大な無駄を出すくらいなら、近所の商店で油か砂糖でも買って持たせてくれればいいのに、と思う。そういうものならどの家でも使うし、絶対に無駄にはなるまい。油や砂糖が重くて持ち帰りに不便なら、海苔でいいな(笑)。
 もっとも、200gの肉にはたいした価値はなく、引き出物として価値があるのは選ぶための時間だ、という発想はあり得るのだけれど、おそらく提供者はそんな発想ではないだろう。
 カタログギフトは、無駄に豊かな社会のシンボルの一つだ。しかし、世の中の人々は「選べるからいいわね・・・」と歓迎し、だからこそ、どの披露宴でも引き出物はカタログギフト、という隆盛が生まれているのだろう。ここでも結局、「まじめに考えれば、ことごとく世間と逆になるストレス」に、心の中で苦虫をかみつぶす私であった。
 ヤマト運輸の荷受け制限で、こういう私のストレス、少し軽減されないかなぁ? MOTTAINAI、MOTTAINAI。