まだまだ序章・・・今年も異常気象

 先週土曜日の朝日新聞第1面で、「温暖化・・・航空機ダイエット?」という記事が目に止まった。
 読んで驚いた。温暖化がこのまま進み、今世紀末までに産業革命前と比べて4〜8℃気温が上昇した場合、空気が薄くなって揚力が低下するため、航空機の1〜3割に重量制限が課されたり、涼しくなるまで離陸を待ったりする事態になるかもしれない、と言うのだ。重量制限は最大4%で、160人乗りの飛行機で考えると、乗客を12〜13人減らすに相当するという。
 具体的な数字はともかく、そのような現象が起こるというだけなら、わざわざ専門化に指摘されるまでもなく、私の貧相な頭でも容易に予測が可能である。
 だから、私が驚いたのは、温暖化によって揚力が小さくなるとか、飛行機に重量制限が必要になるとかいったことではない。今と同じように飛行機を飛ばすことを前提として問題を指摘していることだ。産業革命前との比で、4〜8℃の上昇というのは、正に危機的、もしくは既に破滅に踏み込んだ状況であるはずで、そうなるよりはるか前に(つまりは即刻)自家用車も飛行機も禁止するのが当然なのに・・・。
 研究をしたのはアメリカ・コロンビア大学などの研究チームである。彼らは科学者として、政治的決定は自分たちの関与する問題ではないと判断し、純粋に科学的に予想をたてただけかも知れない。好意的に考えれば、パリ協定からの離脱を表明したトランプ大統領に、こんな事態にもなりますよと警告を発しているようにも見える。だが、トランプ大統領という人は、そもそも人間の経済活動と温暖化の因果関係を否定しているわけだから、その考え方は当たらないだろう。
 今月初めに九州北部で記録的な、と言うより、殺人的な、あるいはジェノサイド的と言ってもよいほどの集中豪雨があったと思ったら、愛知でも、大阪でも、京都でも、島根でも、北海道でも、茨城でも、新潟でも「記録的」な集中豪雨があり、東京では2年連続で狂ったような雹が降った。鹿児島や神奈川など、竜巻もどきの突風が見られた場所もある。1時間に100ミリ前後、数年に一度しか発生しないはずの「記録的短時間大雨」情報が、同じ場所についてでないとは言え、半月で10回以上出されるというのは、どう考えても異常だ。東京では昨日までで16日間真夏日が続いており、これは梅雨における連続真夏日日数の記録を更新中だ。北海道でも92年ぶりの3日連続猛暑日とか、125年ぶりの3日連続真夏日とかの現象が起こった。日曜日の夜にNHK特集を見ていたら、南極海の水温が上昇傾向で、今までは見られなかったタラバガニが生息するようになり、生態系の変化が危惧されている、という話をしていた。そういえば、1週間前には、南極から三重県茨城県とほぼ同じ面積、重量1兆トンという巨大な氷山が流出を始めた、というニュースも流れた。
 既に科学者たちは、繰り返し警告を発している。人々が危機的状況に気付けないというのは不思議なことだが、やはり気付けているようには見えない。人間は「見たいと思うものしか見ない」、裏を返せば「見たいと思わないものは見えない」ということなのだろう。
 今日は、双日という商社が、富裕層向けのビジネス・ジェット事業に参入するという記事が、ネットで流れていた。今後10年間で、ビジネス・ジェットの新規需要がアジアだけで1000機増えるとの見通しを持っているという。こういうことにトキめきや喜びを感じたり、いい商売を始めたと感心していられる人たちを、私はある意味で羨ましいと思う。だが、やっぱり間違いだ。自然の力は本当に途方もないのである。侮ってはいけない。
 私は自分の生活を絞り込むと同時に、先日再掲した記事のような発言(→こちら)を繰り返していくしかない。