行けば行ったなりに面白い

 今日は久しぶりで部活。山に入るのは県総体(6月3〜5日)以来なのだから驚く。「山に行ってなんぼ」の部活だということは分かっているが、部活は生徒のものなので、3人の部員が山に行く、あるいはそのための準備をする気が無ければ私は知らない、ということ。
 向かったのは北面白山である。昨晩、天気予報を見ていたら、宮城も山形もよろしくない。午前中は基本的に雨で、所によっては雷もあり得るという。夜中、雨音が聞こえないかと気になって、何度か目が覚めた。
 ところが、5:25の仙石線始発に乗るべく、4:50に起きた時には、雨どころか、そこそこいい天気である。ただし、べたっと蒸し暑い。仙台で生徒と合流し、仙山線に乗り換える。天気予報では、仙台の降水確率が50%であるのに対して、山形は60%ということだったが、県境に近づいても、天気はよくなる一方で、雨の気配は微塵もない。
 天気がいいのはいいが、とにかく暑い。登山口から山頂の直前までずっと樹林の中ということもあって、風通しが悪く、まるで汗をかく練習をしているようだ。水分補給のため30分に1回くらい休みながら、約3時間をかけて着いた時には、1264mの山頂に生暖かい風が吹いていた。
 縦走路を権現様峠までたどり、駅に戻る予定だったが、面白山の縦走路はかなり藪っぽくなっている上に、景色の変化がなくて面白みに欠ける。加えて草いきれで更に暑い。電車に乗り遅れても困るので、長左エ門平から下山することにした。なにしろ、かつてはほとんど全ての電車が面白山高原駅に停車していたのに、いつの間にか快速通過となり、今は2時間に1本しか止まらない。15:22の電車に乗り遅れるのはつらいのである。確かに、面白山高原駅で乗り降りする人の数は少ないだろう。最近はますます車でなければ出かけないという人が増えて、鉄道利用の登山者が減っているようだ。通過する電車が増えるのも仕方がないのかも知れない。悪循環なのだけどね・・・。(→参考記事=面白山スキー場について)
 長左エ門平から駅に下りる沢すじの道は、ごく一部を除いては本当に快適。最近刈り払いがされた跡もある。しかも、駅からこんなに近くて、これほど山の深さを感じさせてくれる場所は少ない。地形が険しい上、樹林密度が高いような気がする。鬱蒼とした深山の趣だ。途中、川の徒渉点での水遊びも楽しい。電車が出る50分前に駅に着いた。長左エ門平からの下山は賢明な判断だった。
 生徒ははなはだご機嫌。学校ではやる気があるのかないのか分からない状態で、だからこそ、1ヶ月半も山に入らなかったわけだが、山の中ではそんな風もない。歩いている最中に突然止めて、「ここどこ?」などと地図読みをさせても、正解率は低いながら、一所懸命考えている。不愉快は一切ない。
 確かに「山に行ってなんぼ」。「考えるよりも手を動かせ」というどこかの職人の教えと同じことなのだろう。日頃の活動に多少の問題があっても、目をつぶって山に連れ出すしかないのだな、と思った。とは言え、夏山合宿は、引率者が1人しかいなくて計画に苦慮している私たちに対して、県内の某校が一緒に行きませんか?と声をかけてくれたにもかかわらず、目的地が「飯豊」だというのに怖じ気づいてお断り、というお粗末。チャンスには食いつかないと新しい世界は広がらないし、新しい世界が広がらなければ感動もない。をれは私にとってはごく当たり前のことなのだけれど、欲のない生徒には、それを教えるのもまた難しい。