雑草あらため野草

 ゴールデンウィークである。我が塩釜高校は暦どおりなので、この2日間は普通に授業。おそらくほとんど全ての大学と専門学校が休講で、一般の会社にも休みの所はあるだろうから、朝の電車もさぞかし空いているだろうと思って期待していたら、普段の平日とほとんど変わらなかった。案外、みんな忙しいものなのだな。
 暖かい、いや、暑い4月が終わった。仙台では、平均気温も最高気温も過去最高となったそうだ。「ほら見ろ、温暖化だ」とは軽率に言えないけれど、なんだか嫌な予感はする。
 その影響かどうかは知らないが、例年になくウグイスがよく鳴くような気がする。朝なんか、枕元で鳴いているのかと思って驚く時がある。我が家の南側斜面の藪で鳴いているはずなので、少なくとも5mは離れているはずなのに・・・。ありふれた鳥であるにもかかわらず、本当に美しい声だ。
 桜の季節が終わった。一部の山桜だけが満開状態で、あとはほとんど葉桜である。替わって新緑。毎朝15分の塩釜神社経由通勤(→こちら)は継続中だ。杉花粉の季節が終わったので、安心して歩ける。建物が立派で、境内の整備が行き届いていることもあり、この15分だけは京都を散策している気分である。庭園越しに松島湾が見える分だけ、京都よりも上かも知れない。裏参道のモミジのアーケードをくぐって歩く時間帯は、ちょうど太陽が正面にある。日に透けて見えるモミジの新緑は絶品。時間のある休日、牧山へと走りに行くのも継続中だ(→こちら)。以前書いた時には1時間半コースだったが、今は1時間20分弱だ。人間、この歳でも鍛えれば強くなる。山の中にさりげなく花を残している桜は趣深い。鮮やかな山ツツジもちらほら見える。
 我が家では、桜が散った瞬間から庭の雑草との戦いが始まる。ゴールデンウィーク前半の3連休は、それをどうしようか、悩みながら過ごした。というのも、水仙は球根に養分を蓄えさせるため、葉を切るべきではない。ところが、我が家の庭は広くて手作業では追いつかないので、電動の草刈り機で草刈りをする。無秩序に生えている水仙だけを避けて刈るのは難しい。その上、更に問題なのは、後から後から生えてくる雑草が花を咲かせ、これがなかなか美しいということだ。こうなると「雑草」は「野草」に昇格する。
 だったら、草刈りなんかする必要はまったくないではないか、と言われるかも知れない。ところが、そうではないのである。草というのも、人間と同じで、若いほど柔らかい。種類によっては、若いうちに刈れば、ナイロン紐の草刈り機で簡単に美しく刈れるが、すっかり成長しきってしまうと繊維が固くなり、金属の刃を使わないとなぎ倒すだけのようになってしまう。金属刃を使うと、刈れる範囲が狭くなり、同じ面積を刈るのに2倍くらい時間がかかる。しかも危ない。刈るなら早く、花を愛でるなら刈りにくくなることを覚悟する・・・この葛藤!
 結局、咲いている色とりどりの花がもったいなくて、草刈りはしないままに終わってしまった。わずかに、昨日、玄関脇の雑草と家の北側にたくさん繁り始めたドクダミだけ、手作業で抜いた。根がぷつぷつ切れて、取れたのは葉ばかり。除草をしたという充実感がない。1週間でまた葉が出て来るだろう。自然の力は際限がない。