秋晴れの一日、牧山の快感と西武の無念

 素晴らしい秋晴れの一日だった。6時に起きた時には、北上川の河口付近まで女川方面から霧の塊が押し寄せてきていて、河口にかかる日和大橋が半分くらい霧に隠れていた。とても幻想的な風景だ。起きてきた愚息が、「天空の城だ!」と興奮していた。
 日中、海は真っ青。こういう日は、自宅のリビングで外の景色を眺めているに限る。

 たまたま、家にいられた日であることもあって、久しぶりに子ども達の布団を干した。彼らがスポ少だ部活だと言って家を出た後、ベッドの布団を剥がして干したのだが、布団があまりにも汚いので驚いた。特に娘の布団は、ゴミやら埃やら髪の毛やらで気持ちが悪くなるほどである。日頃から掃除をしろとか、きれいに片付けておけとか注意はするものの、実際にはチェックなんかしていないからこうなるのだ、とつくづく思った。
 だが、これだけ汚い布団で寝ているにもかかわらず、ありがたいことに、子ども達は至って健康。以前書いたとおり(→こちら)、人間は汚い環境に生きていて特別な問題が発生しないなら、むしろその方がいいのだ。おそらく息子の布団は、以前よりもさらにグレードアップして、ダニアレルゲンの値は、関東地方在住の成人ぜんそく患者の布団の値の200倍を超えたかもしれない。それでもぴんぴんしているのだから、これはやっぱり子ども達をほめてやらなくては。いや、彼らはずぼらなだけであって、別に努力の結果として汚い布団でぴんぴんしているわけではないのだから、ほめるのは間違いかな?・・・と、干し上がった布団を片付けながら、そんなくだらないことを考える。

 爽やかな秋晴れの下、布団を片付けた後は牧山に走りに行った。先週に続き、8月下旬に入院・手術をして以来2回目である。9月3日から走り始めた、1〜2週間かけて、牧山コースを走れるようにしよう、と9月5日に書いた(→こちら)にもかかわらず、退院後の初牧山がそれから1ヶ月以上後の10月半ばになってしまったのは、医師から、完全に状態が安定するまで2ヶ月は見ておいた方がいいと言われたからである。自分で考えても、下り坂の激しい上下振動はヘルニアという病気、もしくは手術の性質上あまりよくない。だが、実は、天気のよくない日が多かったとか、日没が早くなって、明るい時間帯に時間が確保できなかったことの方が本当の理由かもしれない。
 それはともかく、本当に気持ちがいい。山道は少し紅葉が始まって、いかにも秋の雰囲気である。今日の石巻の最高気温は20度。湿度は約50%。半袖半パンでそれなりに汗をかくが、止まればすぐに乾いていく。コンディションとして最高だ。目の前をウサギが横切っていったのも一興。

 パ・リーグクライマックスシリーズで、優勝者である西武がソフトバンクに負けた。テレビを見ていたわけではないが、私は西武を応援していた。例によって、鉄道は好きだが携帯電話は嫌いだ、という理由ではない(笑)。半年以上かけてペナントレースを戦ってきて、そこで決まった順位が、わずか数日のクライマックスシリーズで実質的にひっくり返っていいはずがない。月並みな意見で申し訳ないが、私も切にそう思うのである。西武の無念は、察するにあまりがある。
 長いペナントレースには好不調の波が必ずある。前半で白星を重ねながら、後半で負けが込み、かろうじて逃げ切るという優勝もあれば、最初はまったくダメだったのに、じりじりと順位を上げ、最後の最後に首位に立つといった形の優勝もある。いろいろなパターンがある。しかし、どんな形であれ、優勝は優勝である。その重さは尊重せねば。今の形だと、ペナントレースの最後に好調の波があったチームが日本シリーズに進むことになってしまう。そのようなチーム作りも実力のうち、とは思わない。ペナントレースの形式は、明らかに6ヶ月間トータルでの勝負を求めている。
 クライマックスシリーズは、最後に盛り上がりを作ると言えば聞こえはいいが、要はどうすれば収益がよりいっそう大きくなるか、という経済の論理で作られたのではないか?欲望は理念をねじ曲げる。これは「真偽と損得は矛盾する」という私の口癖の変化形だ。