山梨県と小海線

 ごたごたと忙しくしていてなかなか書けずにいたが、だいたい落ち着いたので復活。
 落ち着く前のタイミングだったが、少し前に予定として入れてしまっていた都合で、先週末は山梨県に行っていた。石和(いさわ)温泉で行われた教職員組合の研修会に参加していたのである。
 研修会の話は後回しにする。
 何しろ、山梨県に行くのは35年ぶりくらいである。かつて山梨に行ったのは、高校時代の友人が都留文科大学に行っていたからで、確か2回行った。それが私の全「山梨」体験だ。中央本線を長野まで通り抜けた、ということさえない。登山が趣味と言いつつ、南アルプスにも八ヶ岳にも行ったことがない。というわけで、あちこち寄り道をしたかったのだが、いかんせん、時間がない。金曜日も月曜日も仕事は休めないし、組織からお金を出してもらっている都合、目的の研修会をサボるわけにもいかないし、何より自分自身がたくさんやることを抱えているし・・・結局、往復の経路を工夫することで、多少なりとも知見を広げる、というのが関の山だった。以下の通りである。

石巻6:35−(仙石東北ライン)−7:35仙台7:44−(やまびこ124号)−9:12大宮9:17−(川越線)−9:39川越9:42−(川越線八高線)−10:42八王子11:03−(かいじ103号)−12:02石和温泉

石和温泉12:13−(中央本線)−13:06小淵沢13:13−(小海線)−15:27小諸15:40−(しなの鉄道)−16:05軽井沢16:15−(JRバス)−16:49横川17:21−(信越本線)−17:53高崎18:00−(あさま628号)−18:26大宮18:54−(やまびこ155号)−20:24仙台20:46−(仙石東北ライン)−21:46石巻

 これらのうち、川越〜八王子、大月〜小淵沢〜小諸が初めての乗車区間となる。
 よくぞこれだけ多くの人が移動しているものだ、とあきれた。指定席券の発売状況を見ていると、(速い「はやぶさ」や「はやて」ではなく)「やまびこ」なのに往復とも新幹線は満席、中央本線の特急も満席。私は元々自由席利用のつもりで、指定席が満席の割には席が確保できた方だったが、それでも、復路の高崎−大宮−宇都宮は立ちんぼだった。びっくり!
 しかし、一方で各駅停車は閑古鳥である。川越線八高線といった大都市路線はともかく、せいぜい小淵沢〜野辺山で定員の半分を超える乗車率だったくらいで、あとはがらがらである。私のように、時間に身を任せてぼんやりしたい人間には願ってもないことなのだけれど、車で大きな駅まで送ってもらって長距離移動だけ鉄道、というのが、環境負荷との関係で、いいことだとは思えない。
 新幹線の特急料金というのは異常に高いな、と思うことも多いが、その収益で赤字の一般路線が維持されているわけだろうから、新幹線を安くして赤字路線は続々廃止、というよりはよほどいい。
 小海線は、言わずと知れた日本を代表する高山列車である。標高881mの小淵沢から、途中1375mという日本の鉄道最高地点を通り、1345mという日本最高所の鉄道駅=野辺山を経て、663mの小諸駅に至る。日本の鉄道駅の標高として高い順番に1〜9位までが小海線なのだから、その存在感は圧倒的だ。アプト式のような特殊な線路でもなく、列車の後ろに機関車を連結するわけでもなく、ごく普通の気動車(私が乗ったのはハイブリッド車)で、坂をぐいぐい登っているという感じもしないのに、1375mまで上るというのはすごいことだ。なにしろ、私にとっては馴染みの山・大東岳(1365m)の頂上よりも高いのである。
 小淵沢から野辺山まではいかにも高原といった風景で、そこで客もどっと降りてしまうと、ガラガラの列車が今度は美しい谷川に沿って走る。八千穂海瀬駅あたりで山間から抜けると、あとはさほど楽しい路線ではない。小淵沢から乗った場合、楽しいのは最初の1時間半、といったところだった。なぜか、私が最接近したタイミングで、八ヶ岳がすっぽり雲に覆われていたのは残念だったけれど・・・。(続く)