シンスプリント

 そう言えば書いていなかったが、5月7日、久しぶりで学校に行くため、例によって塩釜神社に立ち寄ると、さすがに桜の花はほとんど散ってしまい、もしくは、しなびて色を失い、それと入れ替わるように、藤とツツジが一気に花を開いていた。ツツジにいろいろな色があるのは当然だが、藤にも白と紫の2色がある。新緑に映えて本当にきれいだ。
 なぜ4日も前のことを思い出して書く気になったかというと、今日、牧山に走りに行き、大門崎の登り口の所で、これまた立派な藤の木がたくさんの花を付けているのを見て思い出したからである。
 今「走りに行って」と書いたのは、いささか正確さを欠く。足の調子が悪くて走れないので、自転車で登り口まで行き、基本的に歩いて山中を一周した。2月か3月以来、右足の膝から下が常に不調である。最初はふくらはぎの裏側で、いわゆる肉離れというやつであった。安静にするしかないのは分かっているので、大人しくしていて、直ったと思った頃に走り始めたら、今度はアキレス腱の付け根が痛い。けっこうしつこいので、この際、無理矢理運動すれば、逆に落ち着いたりするのではないか?と、過激に走ったところ、今度はふくらはぎの内側が痛み始めた。しかも、走っている時の痛みはさほどでもないのだが、違和感を感じる部分を指で押さえると激痛というに近い痛みを感じる。これはいよいよ変だぞ、と思うようになった。
 学校で、陸上部顧問のH先生に事情を話したところ、先生は「この辺でしょ?」と言って、私のふくらはぎの内側を指で押した。私は痛みのあまり思わず「ぎゃぁ~」と声を上げた。診断は即座に下った。「シンスプリントですね。走るの止めて大人しくしていないと疲労骨折起こしますよ」とのたまふ。「シンスプリント」とは、調べてみると、「シン(Shin)=腱」+「スプリント(Splint)=添え木、副木」で、和名を「脛骨過労性骨膜炎」または「過労性脛部痛」と言うらしい。「スプリント」は「Sprint=短距離走」ではない。「腱」の後に「副木」という意味の単語をくっつけて、なぜ病名になるのかは分からない。
 う~ん、どう考えても、上で「過激に」とは書いたものの、私のトレーニングなんて、世の中のアスリートと呼ばれる人たちから見れば児戯である。週に50キロは、と思いながら、忙しくて30キロくらいしか走れていない。それで疲労骨折を起こすとなれば、自分の虚弱が情けない。年齢が年齢であるにもかかわらず、準備運動も整理運動もほぼしないのが悪かったか?とは思う。
 昨夜は国語科の歓迎会であった。ビールを美味しく飲むために走りに行きたいところだったが、「疲労骨折」は願い下げなので、歩きに行った。ただ歩いてもビールは美味しくならないので、塩釜神社で階段の上り下りをしようかと思った。事前にH先生にお伺いを立てたところ、それくらいだったらいいだろう、と言われたので、表参道の階段を上り、七曲坂を下りるというコースを8周した(ちょうど1時間)。これを全力で歩くのである。湿度が低く爽やかだったとは言え、仙台で夏日になったというこの日、いくら「全力」でも、残念ながら歩いていては盛んに汗はかけなかった。せいぜい「にじむ」のレベルである。
 「あ~あ、年かなぁ?」とため息をついていると、H先生は、「そんなことありませんよ。生徒もよくなりますから・・・」と慰めてくれた。だけど、治るまでの時間の長さ、運動を休んだ後、運動できるような体に回復するまでの時間の長さが、おそらく若い人とは違うんだよなぁ。というわけで、とにかく、今日は山道を「全力で」歩いてきたのだった。いつまでこの状態が続くのやら・・・。