焼き直し「南アルプス」

 元々このブログは、タイトルとなっている「月曜プリント」(という名称、正式には存在しないのだけれど・・・)を公開するために立ち上げたものであった(→いきさつ)。ところが、その後、「月曜プリント」が発行されていなかった時期があった(長かった)ものだから、私が学校で発行するプリントとは無関係、もしくは、このブログの記事をプリント化するという逆転現象も起きるようになった。私としては、この二つのメディアについて優劣を付けるつもりはないので、私としては、どちらが先でどちらが後でもかまわないのである。プリントの方がはるかに手間がかかるし、発行ペースにしても字数にしても制約が大きい。つまりは機能が同じではない。そこで、それぞれがそれぞれの機能を持ち、補完関係にあってくれればよい、と思っている。
 さて、夏休みが明けて約1週間。この間に2枚の「学年だより」を出した。冒頭に書くことが習慣化しているエッセイ風の部分が、1枚目は今月初旬に5回連載した「南アルプス」、2枚目はつい先日3回連載した「戦争の教訓」の大簡略版になっている。そこで、今更このブログに公開する価値などないと思っていたのだが、若干違うところもあるし、もしかすると字数の多さに辟易している読者にとっては、大簡略版の方がすっきり読みやすい、などということもあるのではないかと思う。というわけで、プリントの一部を公開しておくことにする。

(8月22日付け「学年だより№15」より)

 早いもので、1ヶ月を超える夏休みもおしまい。幸い、21日現在で、特に問題とするような塩高生の事故・事件の報告は入っていないので、全員、元気に充実した夏休みを過ごせたものと思う。
 普通科「現代文」で、担当教員宛に「暑中見舞い」を出すという課題を出してあったおかげで、夏休み中の諸君の様子を少しリアルに感じることができた。
 今週に入ってから、私は突如腰痛に襲われ、よたよたと老人歩きで生活する羽目になってしまった。これだけが夏休みのオチとして不本意だった。ちゃん、ちゃん。

【私の夏休み】7月末から1週間、南アルプスに1人で合宿に行った。かなり前から、南アルプスという巨大な山域には一度行ってみたいと思っていたのだが、なかなか決心がつかないまま、時間ばかりが過ぎていた。
 6月頃、塩高の夏休みが早く始まることを意識した時から、年齢や体調も考えると、今年あたりが最高で最後のチャンスではないかと、にわかに思い始めた。
 山梨県の広河原という所から入山し、北岳(3193m=日本第2位)を始めとする6つの3000m峰に登り、6日後に静岡県の椹島という所に下山した。累積標高差(上り下りの標高差合計)は約7000m。テント・寝袋に、予備も含めて8日分の食糧を持つと、初日出発時の荷物は25㎏近くなった。
 毎日、朝は快晴、10時頃に曇り始め、夕方は雨。歩いている時間帯に雨が降っていないというこの天気と、山で出会った人達との励まし合いのおかげで、素晴らしい景色を眺めながら、なんとか最後まで歩き切ることができたが、私としては心身共にほぼ限界だった。しかし、そういう「限界」体験をすると、自信にもなるし、自信が生まれると、山だけではなく、また何かに挑戦してみようという意欲も湧いてくる。
 貴重な「限界」体験は、向こうから歩いて来たりはしない。たとえおっくうでも、自分自身で一歩を踏み出す必要がある。大切で難しいのは、山で頑張ることよりも、そこへ向けて一歩を踏み出すこと。しみじみそう思った。

 

(他の記事は省略)

裏面:2019年6月8日付け朝日新聞はてな?スコープ」欄「ボイジャー2機の長い旅」

平居コメント:8がつは原爆や終戦に関する記事も多いのだが、休み明け早々あまり重いのもなぁ、と思って、あえてこのロマン夢とあふれる記事にした。宇宙って広い!!