平石氏にエールを!

 今シーズン楽天の監督だった平石洋介氏が、楽天を退団し、ソフトバンクのコーチに就任するという情報がネットで流れたのは、先月の25日頃だっただろうか。ところが、不思議なことに、ネットでは多くの情報が飛び交いながら、新聞やテレビではそんな報道が一切なかった。今月の初めに、ソフトバンクが来期のコーチスタッフを発表したときにも、平石氏の名前は入っていなかった。結局、ネットのガセネタだったわけね、と思っていたところ、今日、突如、平石氏のソフトバンク一軍打撃コーチ兼野手総合コーチ就任が発表された。よく分からないが、これはなかなかのステータスで、監督、ヘッドコーチに次ぐ第3のポストなのではないか、とさえ思う。
 そもそも、平石氏がなぜ楽天で監督契約を継続できなかったかが分からない。少なくとも我が家では、平石監督の実質的解任は甚だ不評だった。
 昨年最下位のチームが、今年は3位で、クライマックスシリーズに進んだ。1年目の実績としては十分と言ってよいのではないか。若い選手を積極的に起用し、野球がとても新鮮に見えた。非常に男前で、にやけた所がなく、外見的にも魅力的な人だ。野球はショービジネスなので、この点も侮れない。
 契約を更改しないという発表をしたとき、楽天の石井GMは、犠打、走塁など現チームの問題点を指摘していたが、それは監督に課題として注文すべきことである。指摘して3年経っても変わらない、とでもいうのでなければ、それを理由に解任するようなことではない。何かそれらとは別の平石氏に対する(おそらくは感情的な)不満があっての解任、しかも、それがファンからも支持されないことは分かっているから、「2軍統括」という新しいポストを準備した、といったところだろう。2軍には2軍の監督がいるわけで、「2軍統括」がどのような権限を持つことになるのかも不明だった。
 平石氏が「2軍統括」を蹴ったのは、心情的によく分かる。彼の指導力を評価したのであれば1軍監督に留めるべきだし、そうでなければ、団内に置く必要はないのだ。平石氏を必要とするわけでもないのに、あちらこちらの顔色を窺いながら、ファンが出来るだけ離れていかないような妥協策として平石氏引き留め、そのための「2軍統括」だとしたら、「そんなことやってられっか!」は当然である。楽天生え抜きとしての愛着とプライドがあれば、なおさら中途半端な懐柔策には腹が立つだろう。
 ソフトバンクはしたたかである。言うまでもなく、平石氏を招くのは、彼の指導力を評価したというだけでなく、楽天にダメージを与えたいという思いがあってのことだろう。
 今回の平石氏解任劇は、多くの楽天ファンにとってすっきりしないものである。私のように、プロ野球なんてただの遊び、どうでもいい、と思っている人間から見ても愉快ではない。これで平石氏が中日や西武にでも行くのなら文句がなかったのだが、ソフトバンクは少し残念。新聞や鉄道は好きだけど、IT関連企業は嫌いだからね・・・。
 それでも、楽天から理不尽な扱いを受けて新天地に行く平石氏は応援したい。