今年の年賀状から

(1月23日付け「学年だより№35」より①)

 私が毎朝訪ねる塩釜神社は、ようやく初詣のための様々な施設が片付けられた。日曜日には、年賀ハガキの抽選があった。お正月もずいぶん遠くなった、という気がする。
 さて、年賀ハガキの番号チェックをしながら、改めて文面を読み直してみた。印象に残ったものを幾つか紹介しておこう。

「昨年1月、春秋航空日本という会社に入社し、B737という機体の免許を取得すべく訓練に励んでいます。何歳になっても、学ぶというのはとても刺激的です。その土台は高校時代、読書が好きになったことにあると思います。中国線を飛べる日が楽しみです。」
(20年余り前某高で教えた生徒。自衛隊で輸送機のパイロットになったが、40歳を過ぎて民間の旅客機に転身。)

「五輪の狂騒の中で、いろいろなものにフタがされていくことを生徒に気付かせていく。そんな抗いをしていく1年になりそうです。」(愛知県の某私立高校の先生。)

網走市内の小学校で、初任の先生(3名)の指導をしています。専門的技能・知識の習得も必要であるが、興味を広げ、体験等を通して、いろんな職業の人とも関係を築いていくことの方が得るものがある、と話しています。」(昔、北海道の山の中で知り合った小学校の先生。2年くらい前に退職。)

「私は化学をひとまずお休みして、大学院で“19世紀の英文学と科学”を学習中です。文学は広くて、深くて、たじろいでいます。」(数年前に退職した元同僚。化学の先生だが、薬剤師資格も持っている。)

「イギリスの映画監督ケン・ローチの言葉が響きます。“私は弱い立場にいる人を、単なる被害者として描くことはしません。それこそまさに特権階級が望むことだからです。彼らは貧困者の物語が大好きで、チャリティーに寄付し、涙を流したがります。でも最も嫌うのは、弱者が力を持つことです。だからこそ、私は普通の人たちが持つ力を示すことをしてきたのです。”」(県内某高の地学講師。年賀状は毎年必ず映画ネタ。)

多くの人がより良き人生を求めて格闘し、そこで得た様々な思いを年に1度の機会に伝えてくれるのは感動的だ。またいい1年が送れますように・・・。

 

(裏面:2020年1月1日付け朝日新聞「2020どう生きる(1) 背負わない 日の丸 栄誉は個人のものとして」を貼付。
平居コメント:今年はオリンピックイヤー。熱狂に脳天気に浮かれるのは危険だ、というのは歴史の教訓である。それを口実に社会がゆがめられ(「オリンピックを成功させるためなんだから」「そんなこと言っている場合じゃないだろ」と無理が通る)、政治権力が悪や社会問題(政治の怠慢)から目を背けさせるために利用することが少なくないからだ。国家的イベントをどのように盛り上げ、同時に、どのようにしてダメージを避けるか?冷静な意識と哲学的思考力が問われてくる。それは「個人」と「全体」という問題でもある。)

 

補)「学年だより」には書いていないが、国会における首相の施政方針演説を見ていると、まったく上の通りになりそうだ。恐ろしや。目覚めよ国民!