(6月30日付け「学年だより№52」より②)
【みんなで USJに行くことはありません】
修学旅行について、現時点で新型コロナウィルスとの関係でどのように考えているかという保護者アンケートを行った。校長が保護者の意向を聞きたいと言って実施したもので、投票でも参加希望調査でもなく、実施の可否を判断するひとつの材料に過ぎない。
実際、書いてあることを見てみると、「今行くとしたら」という仮定で書いているらしい人も相当数いて、一括りにはできない感じがした。
アンケートの中に、「勉強も大事ですが、楽しい思い出も作って欲しい」というような意見が何枚かあった。私たちは、最初何が言いたいのかよく分からなかった。友達と一緒に「非日常」を経験し、見たことのなかった物を見、触れたことのなかった関西の文化に触れることは、それだけで「楽しい」はずだからだ。
あれこれ考えてみて、どうやら「USJに行かせろ」ということらしいと気がついた。そのことを非常にストレートに書いたものもあった。昨秋以来、時折聞こえてくる問題でもあるので、この辺で学年としての見解をまとめておくことにする。
結論として・・・両学科とも、クラス・全体でUSJに行くことはない。理由は次の通り(これは平居私見ではない。2学年スタッフの総意として確認したものである)。
①私たち教員は旅行会社の添乗員ではない。
私たちの仕事は、諸君が自分の思い通りの「楽しい」旅行ができるように奉仕することではない。諸君が学ぶべきことを学べるようにすることである。まずは、この点を決して誤解することのないように。
②私たちは、USJがあえて行く価値のある場所だとは思っていない。
お金さえ払えば、こちらが何も努力しなくても、向こうがせっせと楽しませようとしてくれる。それによって得られた「楽しい」は、本当の「楽しい」ではない。学校では、知らなかった世界が目の前に広がり、新しい発見と成長とがあることを「楽しい」と言う。価値あるものは、理解するのに努力が必要で、努力する必要のないものには、その程度の価値しかないのである。
③希望は公平に尊重したい。
ビジネス科約80名、普通科約280名、それぞれがいろいろな思いを持っている。間違いなく、全員がどうしてもUSJに行きたいと思っているわけではないはずだ。希望を公平に尊重することは難しい。1人でもUSJに行きたくない人がいた場合、私たちはその人に入場を強制することはできない。約5000円の出費を強いることになるとなればなおさらだ。②とも関係するが、大切なのは諸君にとって価値があると私たちがその責任において評価できるかどうかだ。いいものだから見ておきなさいと、法隆寺に連れて行くことなら出来る。