9ヶ月ぶりの演奏会

 今日は仙台のアマチュアオーケストラ、仙台ニューフィルハーモニーのオータムコンサートというのに行った。何とびっくり、コロナ問題の勃発であらゆるコンサートが中止になったため、私が生の音楽を聴きに行ったのは、1月25日の仙台フィル以来なんと9ヶ月ぶりである。高校時代以降で、スピーカーを通さない楽器の音を聴かなかった期間の最長記録かも知れない。なんだかワクワク感が新鮮だ。
 指揮は末廣誠。曲目はスメタナ「我が祖国」から第3曲「シャールカ」、メンデルスゾーン真夏の夜の夢」から序曲、夜想曲、結婚行進曲、そしてベートーベンの交響曲第6番「田園」。末廣誠という方は、かつてこの仙台ニューフィルとマーラーの第9番やブルックナーの第8番という大曲で、集中力に満ちた力演を聴かせてくれた方である。私は仙台フィルのようなプロオーケストラで指揮台に立っているのを見たことがないが、なかなか優れた指揮者、確かに「プロ」だという印象を持っていた。
 10ヶ月近く生の音楽から離れていたことによる感動というのは、思ったほどではなかった。事前に妙なワクワク感を持っていた割に、音楽が始まってしまうと、突然、いま音楽があるということが自然なことと思われるようになってしまったのだ。それに伴って、音楽もとても自然なものとして聞こえてきた。一番よかったのはメンデルスゾーンかな。ベートーベンは、どの音を表に出すかという点において、指揮者と私の感覚とにズレがあった。ただ、やっぱりいいなぁ、本物の音楽。家や車の中で「ながら聴き」をするのと違って、音楽を聴くことに専念できるのが何よりいい。

(ここからはオマケ)
 ところで、新型コロナウィルス問題がかまびすしい中での音楽会というのは、ということも一応レポートしておこう。会場(イズミティ21)の入り口では、行列を作る時の立ち位置がマーキングされている。消毒薬が置いてあり、検温をしている。そこを通過してチケットを見せ、会場に入ると、プログラムは各自で取るようになっている。中央通路より前は、1席おきくらいに着席禁止となっている。通路より後にはそんな表示がない。これは不思議だ。マスクは当然。入り口で見せるだけだったチケットには、住所、氏名、電話番号の他、座った席の番号を記入する欄があり、終演後、会場を出る時に回収となる。感染者が出た時の追跡用らしい。
 特に注意されたわけではなかったが、客の側で自粛していたらしく、以前なら、楽章の合間にけっこう激しく聞こえる咳払いがほとんどない。こうなると、何だ、あれは本当に必要だったの?と言いたくなる。
 楽員もゆったりスペースだ。通常、バイオリンは左右の2人がペアで、一つの楽譜を一緒に見ている(=1プルトと言う)が、今日は間隔を空けた都合で、楽譜は1人ずつだ。同じパートの中では、全員が一斉に譜めくりをすることになるので、音が止まる、いや、そこまでは行かなくても、譜めくりのタイミングで音ムラが出来るのではないかと心配していたが、不思議とそうはならなかった。弦楽器奏者の多くはマスクを付けている。管楽器は、前後の間隔を2倍近く取っている感じだった。