薄氷を踏んで・・・仙台フィル第342回定期

 今日はイズミティ21で行われた仙台フィルの第342回定期演奏会に行った。え?昨日、新型コロナウイルス感染の危険があるということで自宅待機と書いたばかりなのに・・・?まったく、涙ぐましい努力をして、なんとか演奏を聴くことが出来たのである。まずは、コロナ時代の記録として、その点を書いておこう。
 濃厚接触者に指定された娘は、昨日午前、学校でPCR検査を受けた。私は、とりあえず保健所からは行動制限を受けていないが、勤務先から自宅待機を命じられている。検査結果は今日分かる。陰性なら、私の自宅待機もその時点で解除となる。
 仙台フィルのチケットは入手済みであった。行かなければ4000円あまりがパーになる。私としても、1年ぶりのプロオーケストラの演奏会なので、出来れば行きたい。
 11:30までに陰性との連絡が入れば、私は11:53の列車に乗って普通に会場に向かえばいい。その後は間に合う電車がないし、危険度が分からないまま公共交通手段を使うわけにも行かないので、11:30になっても連絡が来なかったら、エネルギー、特に石油の消費はできる限り避けるという思想信条には反するが、自分の車で会場に向かう。入場の間際に自宅に電話をして(私は携帯電話を持たない主義者なので、自宅から連絡をもらうことが出来ない。もちろん、電話をするのも公衆電話から=笑)、検査結果を聞く。陰性なら問題なし。陽性ならあきらてそのまま自宅に戻ることに迷いはない。問題は、結果の連絡がまだ来ない、という場合だ。頭の中では、陽性だった時に準じるしかない、と思っていたが、その可能性が低いだけに、すっきりそんな気分になるかな?と葛藤していた。
 結局、11:30までに電話はかかってこなかったので、やむを得ず、車で会場に向かった。14:20に自宅に電話をしたら、幸い、陰性との連絡が入っていた。これで私は堂々と会場に入れる。・・・とまあ、こんな感じだった。なかなかに面倒くさい。
 ところで、つい先ほど、娘が陽性である可能性は低い、と書いたが、それは一般論である。つまり、検査を受けた人に対する陽性者の割合が、宮城県の場合約6%(1月17日現在、日本経済新聞HP「チャートで見る日本の感染状況」による)、つまりは100人検査を受けて6人なので「低い」と考えるだけである。というのも、娘は濃厚接触者に指定されたにもかかわらず、娘から一番近い感染者が誰か?とか、娘の通う学校から出た感染者は何年何組に所属している男子か?女子か?など、娘がどの程度危険かを想像するための情報は、一切教えてくれないのである。しかも、あまり個別に接触状況を調べて濃厚接触者かどうかを判断するなどやっていられないということで、結局1学年、2学年に所属する全員が濃厚接触者として検査対象になったというから、娘がどの程度危険かというのは、想像しようにも想像しようがないのである。
 もっとも、保健所や学校にしてみれば、プライバシーの問題や、誹謗中傷対策もともかく、情報があることで、余計な素人判断をされるとかえって困る、あなたは保健所から言われたとおりにしてさえいればいいのだ、ということなのだろう。それも確かにそうなんだけど・・・。
 さて、今日の指揮者は鈴木優人。プログラムは武満徹「夢の時」、ショパン・ピアノ協奏曲第1番(独奏:牛田智大)、ラヴェルマ・メール・ロワ組曲、「ダフニスとクロエ」組曲第2番。
 私には武満徹の価値がよく分からない。今日の曲も同様である。ショパンの協奏曲は名曲ではあるが、演奏(ピアノ)としては平凡であった。一転、後半の2曲は本当に素晴らしかった。ドイツ・バロック出身の人=バッハ・コレギウム・ジャパン首席指揮者という先入観からは意外だし、指揮ぶりは、後から見ている限りほとんど拍子を刻んでいるだけの単調なものなのだが、そこから生まれてくる音楽は本当にしなやか、繊細で美しい。初めて鈴木優人の演奏を聴いた前回(2018年9月の第321回定期)でも、バッハ、ラヴェルメンデルスゾーンと並んだプログラムの中で、ラヴェル(「クープランの墓」)の演奏を私は出色と評価していたから(→その時の記事)、今回もラヴェルの演奏に感心したのは偶然ではないだろう。ラヴェルとの相性なのか、フランス音楽との相性なのかは知らない。次はドビュッシーを聴いてみたいものだ。脱帽。