冬休み課題〈俳句・短歌〉優秀作品(抄)

(1月28日「学年だより№78」より②)


【冬休み課題 俳句・短歌・・・優秀作品発表!】

 冬休みが終わって2週間、諸君の作品を楽しく読ませてもらった。残念ながら全体として非常に雑。誤字多数の上、何でもいいから出せば文句ないでしょ?みたいなものが多かった。また、テーマも表現も非常に平凡でワンパターン。一生懸命工夫した形跡がない。「寒くて布団から出たくない」「お年玉が嬉しい」「食べ過ぎて太った」など、わずかに10くらいのテーマで作品が書かれ、表現も説明的でつまらない。
 素直で前向きな気持ちを持って対象をよく観察し、その時の自分の心を真剣に見つめていれば、どんな些細な日常、平凡な物にも、それまで気づいていなかった感動、思いもかけなかった価値の発見が必ずある。突き詰めて考え、表現を磨いてこそ、個性も表れる。このことをぜひ肝に銘じてくれたまえ。
 と、グチめいたことから書き始めてはみたが、350人×4句、2首という膨大な作品から絞り込んで残った10か20の作品は、さすがに優れたものである。国語科3人が短歌・俳句それぞれ5つの佳作(佳)を選び、その中で最も優れていると思ったものを(秀)とした。驚いたことに、3人が選んだ作品にはほとんど重複がなかった。文芸作品の優劣を判断するのはやはり難しい。

〈平居選 俳句〉
[秀]兄ハタチ照れくさそうにお年玉
(おそらくは初めてお年玉を妹に渡すのであろう兄の表情に注目した点が新鮮。兄の気恥ずかしさだけでなく、妹を愛おしいと思う気持ちも漂ってくる。)
[佳]
・クリスマスまさかの授業六時間
(コロナによる学校への影響を、コロナという言葉を使うことなくうまく表現している。)
・オリオン座母の車はまだ来ない
(「オリオン座」と来れば、星空の美しさを表現しようとしているかと思わせておいての意外な展開。ただ、これで暗さも寒さも表現できている。[秀]にしようか迷った作品。)
・会いたいなたった五文字が送れない
・たんぽぽの綿毛飛ばした春の風
(以上2句、内容としては平凡だが、素直さと素朴さに魅力を感じた。)

〈平居選 短歌〉
[秀]僕は誰生きているのは何のためふと思いつくそれを知るため
(具体的な物や情景ではなく、抽象的、思索的な内容だけで歌を詠むのはとても難しい。それに成功した見事な例だ。)
[佳]
・渡り鳥翼を伸ばし大空へ私も見たい世界の光
(「遠くの景色」とかではなく、「世界の光」と詠んだことで、広い世界への憧れがより大きく、美しいものになった。)
・落ちたよと言ったわたしに冷たい目妹受験もう少しだね
(平凡な日常のひとコマが何と美しいことか。妹に向けられた姉の優しい目も印象的。)
・恋愛は付きあうまでが楽しいとそれでも私は彼氏ほしいな
(恋に憧れる女子高生の実感を、多少のユーモアを交えてよく表現した。)
・あこがれた高校生の日常はいつも通りで少し退屈
(佳作に入れてよいかどうか迷ったが、あまりにもリアルで印象に残ったので入れた。)


*他の教員による〈選〉は、とりあえず省略。