美しき瑞巌寺

 日曜日は大荒れ、というのが2~3日前の天気予報だったのだが、昨朝目を覚ませば、日射しがまぶしく、カーテンと開けると「快晴」に近い天気だった。雨上がりで空気が澄んでいて、我が家からは南浜の復興祈念公園も海もとてもくっきりと鮮やかに見える。うねりが大きいらしく、時折、波消しブロックで砕けた波が、7.2mの防潮堤をはるかに超えてしぶきを上げる。まるで台風一過といった感じだ。
 天気がいいのと、家族が全員そろっているのとで、ちょっと出かけようか、という話になった。中学生になった息子に、一度、改修工事が終わった松島・瑞巌寺を見てこい、と以前から言っていたのを思い出し、では、瑞巌寺に行こうという話になった。本当は、私としては、息子に自力で行かせたかったので、家族でというのは本意ではないのだが、私自身が、久しぶりで瑞巌寺をじっくり見たいという気持ちもあったので、一緒に行くことにした。
 思えば瑞巌寺も約4年ぶりである(→その時の記事)。前回はまだ平成の大修理が終わっていなかった。それから4ヶ月経って工事が終わり、今回は、完成後初めての訪問ということになる。
 外出自粛の雰囲気が漂う中、朝9時過ぎだったということもあって、松島海岸を歩く人の姿は少なかった。瑞巌寺もガラガラ。それでもぽつりぽつりと人の姿はあって、騒がしくもなく寂しくもない、いいコンディションだった。
 改めて、その美しさに圧倒された。あの、作られた時代の違う瓦で葺かれているために、縞模様のある大屋根も、見事に復元されたふすま絵の金箔の輝きも、本堂の北側にある中庭の枯山水も、本当に一流。京都の寺院でも、これを上回るものは決して多くないと思った(700円という拝観料も京都レベル!)。前回、宝物館で上映していた平成の大修理の記録ビデオが、今回は上映されていなかった。子どもに見せたいと思っていたので、それだけが残念だった。
 見物を終えると、切り通しを通って専門道場(座禅堂)を見に行き、引き返して再び本堂の前を通り、今度は円通院を訪ねる。伊達光宗の霊廟で、国の重要文化財に指定されている三慧殿は、支倉常長とも関係し、ヨーロッパ文化を帯びているというのも面白い。前回は円通院に入らなかったので、こちらはいつからぶりかさえ思い出せないのだが、瑞巌寺に劣らずよかった。庭園全体にきれいに生えた苔の落ち着いて深い色合い。小堀遠州作の庭もあって、わざわざ拝観料(300円)を払って見る価値のある寺院だ。
 すっかり感心しながら境内を歩きつつ、生徒をこれらに連れて来られれば、修学旅行なんてどうでもいいな、という気持ちが兆してきた。
 その後は、海岸を歩き、福浦島に渡ってまた景色を眺め、午前中で松島海岸を離れた。わずか3時間くらいだったが、いい時間を過ごせた。中学生の息子はすぐに退屈し、足取りが速くなるので落ち着かない。また近いうちに、今度は一人か、妻と二人ででももっとゆっくり訪ねてみようか。