JICA講演会 in 塩高

(7月7日付け「学年主任だより№13」より②)


【世界が広がってよかった「教養講座」】


(ブログ用の注:先週の水曜日に学年行事「教養講座」を行った。今回はJICA東北から、Nさんに来ていただいた。Nさんは環境教育分野で、海外青年協力隊員としてインドネシアで2年間活動された。)

 予定よりもずいぶん短い時間で終わってしまったけれど、おかげで質問の時間もゆったり取れてよかった。諸君の感想を読むと、新鮮な発見がたくさんあったようだ。Good!!まずは、いくつかの感想を、内容の復習も兼ねて紹介しよう。(みんなたくさん字を書いていて、それをつまみ食い的に引用するのが難しいので、紹介できる作文の数がわずかになってしまうことは残念だ。)


現代社会の教科書等で、海外協力隊という名前は見たことがあったのですが、実際にどういった活動をしているのかはあまり知らなかったので、とても興味深いお話でした。インドネシアに対しては発展途上国というイメージが強く、今日のジャカルタの写真を見て、首都はこんなに発展しているのか、と驚きました。結婚式は文化の違いが大きくて面白かったです。日本で、インドネシア式の結婚式をしたら、あまり良い顔をされないだろうな、と思いました。Nさんが着ていたシャツの柄も派手だなあ、とだけ思っていたのですが、インドネシアの民族衣装だと聞いて納得しました。自分の知らないことは、自分が知ろうとしていないことだな、と思いました。世界で貧困や環境(ゴミ)が問題と言われても、日本はそんなことないし、と思考をシャットダウンせずに、知ろうという努力をしようと思います。

・今まで知らなかったインドネシアという国について知ることができたと思います。主食がお米だったり、おかずが似ていたりして親近感が湧きました。モスクや結婚式など華やかなイベントがある一方、ゴミの散乱や、牛が最終ゴミ処理場でお腹を満たしている姿を見て、とても驚きました。SDGsに貢献するためにも、途上国について知っていく必要があると思いました。最後にお話しいただいた、当たり前の日常や人との繋がりに感謝するということを、これからの生活で大事にしていこうと思います。

・自分の小さな行動が世界とつながっていくということを学びました。今までは世界とのつながりを意識したことはほとんど無かったけれど、環境問題等は地球全体の問題でもあるので、そういう部分で世界とのつながりを感じました。自分は今まで日本が一番よい国だと思ってたけれど、他の国に行ったこともない中で決めつけていて、本当に日本が一番良い国なのかを知るためにも、海外に行ってみたいと思いました。

インドネシアがどこに位置しているのかを知っていても、どんな国か、どんな人が生活しているかなど、詳しいことは分かりませんでした。けど、Nさんの経験や知識を教えてもらったことで、少しインドネシアに興味を持ち始めました。一番驚いたのが、幼稚園から制服を着る理由が、「貧富の差を感じさせないため」ということでした。日本でも私立の幼稚園などは、制服があったりしますが、貧富の格差が大きいインドネシアならではの理由なのだろうと感じました。インドネシアは日本と違うところが多かったけど、共通点もあったので、他人事のように感じられませんでした。環境問題や格差などは、その国その国で取り組むのではなく、世界全体で取り組んでいくべきだと思いました。

・私の中学3年生の頃の担任の先生が、JICAでジャカルタ?に行ったことがあって、話を聞いたことがありました。だからそういう活動があることは知っていたのですが、具体的にこういう活動をしているというのは知らなかったので、なるほどと思った。今私たちが勉強しているSDGsともつながりがあり、改めて世界の環境について知ることができてよかったです。外国に行くために、英語じゃない言語を学んだのはすごいと思います。最後におっしゃっていた「勇気が必要な時、苦しいと感じる時、今いる環境を一歩離れた視点で捉えてみる」ということがすごく印象に残っていて、これはこのことに関してじゃなくても、いろいろなことに言えることだな、と思いました。


 「海外体験の話を初めて聞いた(あるいは貴重な経験だった)」というような感想が多かったのはびっくり!!本当かな?塩高にはH先生という海外青年協力隊経験者がいて、昨年までの2年間は諸君と同じ学年にいたわけだし、諸君は、海外へ行くことがまったく特別なことではない時代に生まれ・育っているわけだから、インドネシアのような昔から日本との結びつきが深い国なら(太平洋戦争時、インドネシアは日本の植民地だった。なぜ日本がインドネシアを植民地化したのか、分からない人は調べておいた方がいい)、むしろ「何を今更」というような気分になる人が多いのではないか?と私は思っていたのである。
 また、諸君の作文には、「自分も海外に行きたい」「海外青年協力隊に参加したい」というようなものも多かった。最近、日本人の若者は内向きだとよく言われる。現在の生活に安住するのが好きで、あえて外に出て波にもまれたいとは思わない。大学生でも、留学意欲の低さがしばしば問題になる。平和ぼけの一種だろう。そんな中で、諸君の意欲は頼もしい。だが、「調べてみたい」「読んでみたい」と作文に書きながら、あまり実行されている感じがしないという現実がある。「模範解答」は要らない。卒業し、コロナが終息したらぜひ実行して欲しい。
(余談)
 私は昔(主に学生時代)、世界を見てみたいと思って、小さな荷物ひとつを持ち、世界各地をふらふらしていたことがある。かれこれ50ヶ国くらいは回ったと思う(インドネシアも行った。行ったことがないのはアフリカと南極!)。興味があるから訪ねるというよりは、訪ねた結果として興味が湧く、ということの方が多い。だから、帰国してからそれらの国に関する本をたくさん読んだし、その後何年経っても、それらの国に関するテレビ番組や新聞記事は気になって見る(読む)。こうしてたった1回の旅行が、自分の中で何倍にも育って行く。だから旅行には価値があるのだな。
 いや、実際に訪ねなくても、諸君がNさんの話を本当に面白いと思い、インドネシアに興味を持ったなら、そして学ぶ意欲さえあれば、実際に訪ねなくても、そうして知識を更に広げていくことは出来る。