将棋、おもしろい!

 藤井聡太三冠が、竜王戦第3戦で藤島竜王を破り、竜王奪取に王手をかけたというニュースが流れている。「強すぎる!」と驚くのだが、あくまでも結果に基づいて「なんとなく」強いと思うだけだ。実際、藤井三冠がどれくらい強いのか、彼のどの手がどういう意味を持つのかみたいなことは全然分からない。私でも名前を知っているような高名な棋士を、これほどばったばったと倒すのだから強いのだろう、というだけである。
 ところが、最近、Abemaで生中継を見ていると、勝負自体が非常に面白い。ひとつ駒が進むたびに、それに対して次はどこが動くのかということを、私なりに予想しながら見ていると、正に手に汗握るような気持ちになってくる。ちなみに、私の将棋の実力というのは、せいぜいアマチュアの中のせいぜい「下の中」。もしかすると「下の下の中」といったレベルで、高校将棋部の生徒あたりだと、まず間違いなく勝てない。したがって、対戦中の駒を見ながら、あれこれ予想し、勝手に手に汗握ったところで、やはり藤井三冠の強さというか、特別さというのが分かるとはとても言えない。
 困ったことに、将棋の対局は途方もなく長い。場合によっては、ひとつの駒が動くのに2時間近くもかかる(もっとの場合もある)。ほとんど高校野球1試合分の長さ(!!)である。しかも、野球と同様、いつ終わるのかが分からない。今回の竜王戦だって、93手差すのに丸二日、正味15時間以上かかっている。では、考えている時間は飛ばして、後から駒の動いた順番だけをたどればいいではないか、という話になるが、そうはいかない。ライブでなければ、勝負の緊迫感というか、上に書いた手に汗握る感じが全然湧いてこないのである。いつ駒が動くか分からないので、何か他のことをしながら時々様子を見るというわけにも行かない。
 便利なものというのは、こうして時間を奪っていく。世の中の将棋ファンというような人たちは、この勝負をリアルタイムで観戦し続けているのだろうか?ただやっぱり、この勝負は面白いよなぁ。