祈る、祈る、祈る

 1週間以上更新しなかった。ウクライナ問題が常に心に引っかかって鬱々とし、何かを書いておこうという気にならなかったのである。
 この間に「3・11」があった。理不尽で野蛮な戦争に比べれば、津波なんて実に些細な出来事である。12日に、妻が「ウグイスの鳴き声が聞こえた」と言っていた。ウグイスらしき声は私も聞いたが、いわゆる「ホーホケキョ」ではなかったので確信が持てない。
 やっぱりウクライナ。私は、ロシアがいつ生物・化学兵器を使うか、いつ核を使うか、気が気でないのである。現在ロシアがしていることのは、既に常軌を全く逸しているのであって、プーチンなる人物の頭の中でどのような化学反応が起き、それによって何を始めるかなんてまったく分からない。いかなる事でも起こり得ると思っていないわけには行かない。そして、どこまでなら他の国が本当に黙っていられるか、連鎖反応が起こったら世界がどうなるか・・・事態はまったく予断を許さない。過去を見れば、歴史は変わる時には1日あれば変わるのである。とにかく、ロシアがそんなバカなことをしないように、世界が連鎖反応を起こさないように、明けても暮れても私は祈っている。どうしても「祈る」以外に出来ることがない。
 手当たり次第、報道には目を通している。情報がどこまで正しいかも分からない。識者のコメントを見ても、「こうなって欲しい」という願望が予想をゆがめているように感じられることが少なくない。私には、そうそう簡単に戦争が終わるとも、プーチン体制が瓦解するとも思えない。正に狂気としか言い様のなかった独善的なスターリン体制も、スターリンの病死によってしか終わらなかったし、ヒトラーが推し進めた無謀極まりない戦争も、ドイツが完全に行き詰まり、瓦礫の山となるまで終わらなかった。
 今回の戦争が始まる前、何かと悲観的な私でも、まさかこれほど露骨な侵略戦争が行われるとは思っていなかった。いつぞや、「最近は、私が生きているうちに(平均値で考えてあと20年くらい)人類の終末を見ることになるかも知れないと思うようになっている」と書いたこともあるのだが、それは温暖化による自然災害や、それによって引き起こされた食糧危機、食糧の奪い合いによる戦争によってである。今回の戦争は、それとは関係ない。
 ネットでいろいろな記事を読んでいると、ロシアの軍事支出が1日当たり2兆円だとか、韓国の国防費半年分だとかいう記事が目に入る。確かめようはない。ウクライナ戦線に投入されている兵士に、「手当」というものがどれくらい付くのかは知らないが、それらの経費の大半は武器・弾薬であろう。おそるべき浪費だ。しかも、武器弾薬を消費しながら、ウクライナの様々な施設を破壊しているわけだから、消費しているエネルギー・資源は2兆円分ではまったく済まない。
 以前から言う通り、軍ほど環境に悪いものはない。一刻も早く温暖化にブレーキをかけなければならない切羽詰まった状況にありながら、戦争などは本当に狂気の沙汰なのである。どう考えても、今の地球は戦争などしている場合ではない。にもかかわらず、いくら多くの報道に目を通しても、誰一人として温暖化問題には触れてはいない。呑気だとも思うし、それどころではない、もっと切迫した問題があると言うようでもある。
 唯一、なんとなく心励まされるようになるのは、ウクライナの大統領・ゼレンスキーの存在である。元々はコメディアンだったらしいが、開戦後3週間の言動を見ていて、偉い人だと感心している。冷静にして意志強固で、非常に危険な状況に身を置いているはずなのに、不安や怯えを微塵も見せない。むしろ、心に余裕を持って自己主張をしているように見える。
 日本政府の対応はいちいち不安だ。どや顔でプーチンを「ウラジーミル!」と呼んでいたかつての首相は、いま何をしているのだろう?そんなに気心知れた友人関係にあったのなら、説得に動こうとくらいすべきではないのか?それが友人のためでもあろう。