石巻市会議員選挙雑感

 一昨日の日曜日、石巻市会議員選挙があった。今や日本の地方は、どこでも議員のなり手不足、定員割れの議会すら珍しくないと聞く中、定員30名になんと43名(現26、元1、新16)が立候補し、競争率は1.43倍。熾烈な選挙戦となった。
 しかし、だからと言って、有権者の政治意識が突如高まったりはしないし、多くの候補者からいろいろな訴えがあった、という気もしない。終わってみれば、投票率は驚きの過去最低、わずか51.34%(同じく過去最低だった前回比-0.43ポイント)。
 あまり熱心に情報収集をしないこともあって、候補者ごとの意見の違いなんてほとんど分からない。直接知っている人も数人しかいないので、人柄とか、表面化しにくい見識、教養もよく分からない。「教育のICT化を推進」というあたりをまず除き、できれば農水産業関係者がいいかな、どうせなら若い人にやらせた方がいいかもな、女性を増やすのも悪くないな、とか考えながら、誰に投票するかを決められずにいた。
 おそらく、多くの人が同じようなことを考えていたのだろう。70歳以上の候補者5人(全員現職)のうち2人が落選した。一方で、50歳未満の候補者9人(現2、新7)のうち落選は2人で、7人(現2、新5)が当選した。今朝の地方紙『石巻かほく』によれば、当選者の平均年齢は57.9歳で、改選前の現職の平均年齢(64.8歳)よりも6.9歳、彼らの当選時の平均年齢(60.7歳)よりも2.8歳下がった。女性は1人増えて5人となった。新人候補者16人のうち8人が当選し、元職の1人は返り咲いた。震災後に石巻に移住してきた人3人は全員が当選。確かに、町に対する思い入れや問題意識、発想は、石巻で生まれ、現状を「当たり前」と思っている住人より、強くて自由かもしれない。言動に問題があるとして、議会で2度にわたって辞職勧告が決議された後も、辞職することなく議員活動を続けていたK氏は落選した。旧雄勝町出身の候補者は、震災後の人口流出がひどく、雄勝地区の全有権者がその人に一票を投じても、前回の最低当選得票に達しない、雄勝地区の民意はどのように市政に反映させるのだ?ということも話題になっていたが、幸い(?)当選を果たした。こうして、市議会の3分の1が入れ替わった。
 結果として、外形的には非常にうまくシャッフルされたような気がする。投票率を除けば、全国の地方議会選挙の模範と言ってよいほどだ。ただし、落ちて残念だった候補者もいれば、「なんでこいつが?」と思う当選者もいる。また、今「外形的には」と書いたとおり、それはあくまでも見かけの問題である。今回当選した議員が、本当にまともな町作りをするかどうかは未知数だ。そもそも、国・県といった上部組織からの力や、財政上の制約などあって、彼らがどれほど思い通りに動けるかも分からない。
 しかし、ともかく、わずか15万人ほどの地方都市で、曲がりなりにも選挙らしい選挙が行われたことは誇ってよい。何かと閉塞感のある話ばかりが多い中、久々に、ほんの少しとは言え、何かが始まりそうだという前向きなわくわく感を感じることができてよかった。