初「ニホンリス」

 我が家の沖に、もう1週間以上、3000トンくらいかと思われる、タンクの数二つのさほど大きくない一隻のLNGタンカーが停泊している。おそらく、我が家から2~3㎞、かなり近いところだ。しかも、北上川の河口で、出入りする船(主に網地島航路の旅客船)にとってはいかにも邪魔になりそうな場所だ。
 この船は、以前から時折見かける船なのだが、今回の停泊期間はあまりにも長い。ロシアからのLNG輸入量が減少し、運ぶべきLNGがなくて、仕方なく停泊しているのではないか。そんな想像をしている。
 そう言えば、先週は「玉ねぎリレーマラソン」に出ていたため、昨日は、2週間ぶりで牧山に走りに行った。石巻でも夏日になると言われていて、私が走りに行った8時半頃にもかなり気温が上がっていた。上がったのは湿度もだ。遠景がぼやっと霞んでいて、我が家から海を見ても水平線がどこにあるか分からない。これは湿度が80%を超えていることを意味する。夏の到来を一気に感じた。
 牧山の尾根道は、至る所に蜘蛛の巣が張っていて、非常に不愉快。日が当たっている場所は、巣が光って見えるのでいいのだが、樹林の中で日が差し込んでいないと、よほど注意していない限り顔を蜘蛛の巣に突っ込むことになってしまう。
 途中、リスが目の前を横切り、道路脇の杉の木に上るのを目にした。今までにも、垂直な杉の木をツツーッと駆け上っていく小動物を見かけたことは何度かあった。しかし、あまりにも素早いので、およその大きさからリスかモモンガであろうと想像はしてみるものの、確認することができなかった。昨日は、動作そのものが少し遅かった上、木に登り始めて間もなく、高さ5mくらいの所で立ち止まったため、初めてじっくり観察することができた。モモンガも、羽の代わりになるひだがいつもよく見えているわけではないはずなので、100%の確信を持てたわけではないのだが、ニホンリスは昼行性、モモンガは夜行性ということも合わせて考えると、ほぼ間違いなくそれはニホンリスであった。シマリスのような可憐さはないが、かといってタイワンリスのような厚かましい雰囲気も帯びていない。
 お互いにしばらくじっとしていたのだが、何かの拍子に、私とリスの目が合った。その瞬間、リスは恐るべき軽業で垂直の木を駆け上がって行ってしまった。あの身軽さは羨ましい。
 たかだか25℃にもなるかならないかだったのだが、急に気温が上がったこともあって、すっかりバテてしまった。帰路の「かわみなと大橋」は、軽微な斜面なのに、歩いて渡ることになった。橋の頂上付近から北の方、中瀬本面を見ると、川岸には多くの釣り客がいた。上手くいけば、そこそこの大きさのスズキが釣れるはずだ。平和な日曜日である。