教室でのお話

 既に全国報道されているとおり、一昨日から大雨が降った。南側から叩きつけるような雨で、南側の部屋に南枕で寝ている私は、雨の音がうるさくて夜中に何度も目を覚ました。丘陵地帯にある我が家には被害がなく、目の前に広がる南浜津波復興祈念公園でも、石巻市内でも冠水は目にしなかった。
 史上初めて、6月に梅雨明けが発表されたと思ったら、その後は天気が安定しない。天気図を見ても、週間予報を見ても、明らかに梅雨状態だ。こういう時って、再入梅宣言しないものなのかな?
 今日は二日酔いで不調。
 ところで、先日、今勤務している学校で、生徒に選挙に関する話をするのが難しい、ということを書いた(→こちら)。そうしたところ、参院選が終わって最初の3年生の授業で、たまたま教卓の上に誰も読まないまま放置してあった河北新報を手に取り、あっ、そうそう、こんな形で話してみようかな、と思いついて話したところ、生徒がとてもよく聞いたので、結局、1、2年生も含めて、私が出入りしている7つの教室全てで同じ話をした。せっかくだから、ここに紹介しておくことにする。

参院選終わったけど、投票権持っている人は行ったか?」
「行った人?」(1名)
投票権あるけど行かなかったっていう人?」(数名)
「あんたたち、今回の選挙にかかった費用いくらか知ってる?」
(金の話になると生徒は顔を上げる。3千万円~5億円くらいを答える。)
(答えが出尽くしたところで、私は口頭ではなく、黒板に大きく600億円と書く。生徒はどよめく。)
「はい、だいたいこんな金額です。選挙活動の公平を最低限保証するために、ポスター印刷や宣伝カーの費用は公費負担だし、ポスター用の掲示板建てるし、投票所の立会人には日当出さなきゃダメだし、それらを全国各地でくまなくやるわけだから、お金もかかるさ。あんたたちが就職してから一生の間に稼ぐ金額の合計が平均で2億円ちょっとくらいのはずだから、だいたい生涯賃金250人分くらいかな。この学校ってとても立派だけど、10校くらいは作れるかな。高い?」(高い!)
「えー?だけど、こんな風に考えたらどう思うかな?」
「今年の日本の国家予算っていくらか知っている?」
(生徒沈黙。私は黒板の600億円の右に→107兆円と書く。)
「今回、600億円の費用を使って選挙をして選ばれた議員さんは、任期が6年間だから、彼らは107兆円×6年間=642兆円のお金の使い方に責任を持つことになるね。642兆円ってイメージできないと思うけど、1兆円は1万億円だって意識すると、イメージできないくらいすごい金額だってことはイメージできるでしょ?(笑)。もちろん、今回選ばれた125人は参議院議員の半分だから、もう半分の人達と、参議院議員のだいたい倍の数の衆議院議員も関わるわけで、今回の選挙で選ばれた人達だけで642兆円を使うわけではないんだけどね・・・。それでも、やっぱり彼らはこのお金の使い道に責任を持つわけだよ。600億円もったいないからって選挙やめたらどうなるの?誰かが国のお金の使い方を決めないわけにはいかないし、デタラメな使い方が始まった時に、それを止めることもできなくなっちゃう。だとすれば、たとえ600億円かけてでも選挙しないとダメだっての分かるでしょ?あるいは、この選挙でまともな議員さんが選ばれて、642兆円がちゃんと使われるなら、600億円も決して高くはないんじゃないかな。」
「だけど、そうなると、この600億円が高いか安いかはまともな議員を選べるかどうかで決まるっていうことになるし、それは国民の意識次第だっていうことになるの分かる?言い方変えれば、その600億円が生きるも死ぬも国民次第、私たち、あんたたち次第っていうことだよ。立派な議員さんを選ぶためには、日頃からいろいろ情報集めをすることが大切で、そのためにはやっぱり国語の勉強は必要だな。さ、勉強するぞ。」(ため息)