エリザベス女王

 昨夜、エリザベス女王が医師の管理下にある、チャールズ皇太子夫妻は既に駆けつけ、その他の親族も女王の下に向かっている、というニュースを見た。そして、今朝起きたら既に亡くなっていた。96歳ともなれば仕方がない。即位70周年の式典に、自らの在位を祝う行事であるにもかかわらず、出席されなかったことから、かなり衰えておられるのではないか、という気がしていた。
 あまり個人的な感情は無いが、かなり深い敬愛を受けておられたのであろうとは想像している。政治的存在でないということもあるだろうし、在位期間が非常に長かったということもあるだろうが、やはりその人柄がよかったのだろうと思う。人間としての存在感、と言ってもいいかも知れない。日本だって、現在、某元首相の国葬については反対の声も多く上がっているが、上皇ご夫妻が亡くなったりした時には、本物の(強制されない、義理や形式ではない)弔意が各方面、多数の国民から寄せられるに違いないのである。
 1975年に来日した時のことは、私もよく憶えている。中学校1年生で、ちょうど英語を習い始めたばかりであった。父親であったか、学校の先生であったかは憶えていないが、女王のスピーチは「クイーンズ・イングリッシュ」といって、最も模範とすべき美しい英語なのだと言われ、当時、ようやく我が家で初めて買ったラジカセというもので、そのスピーチを録音し、繰り返し聴いた。テレビで字幕は見たはずだが、録音を聴いても何を言っているかは全く分からなかった。それによって、英語の力が付いたということもない。ただ、ずいぶん上品な割に、毅然とした印象をも受けたことを憶えている。それが、エリザベス女王に関する私の、古いけれども最も明確な記憶である。
 私には興味のあることがあった。コモンウェルスの国々でエリザベス女王を元首とする国が、カナダやオーストラリアなど、今でも15ヶ国近く残っているはずで、それらの国々は何らかの反応を示すのだろうか?それはフランスや日本の反応とはやはり違うのだろうか?という問題である。今日、私が見聞きした範囲の情報では、それらの国々の反応についての言及はなかった。
 不謹慎と言われるかも知れないが、我が家では、今朝、エリザベス女王の逝去(←でいいのかな?「崩御」や「薨去」は使えないだろうし、報道ではただ単に「死去」としているものが多かったが、私としては事務的で冷たい印象を受けるので、丁寧で、多少なりとも敬意を含むはずの「逝去」にしておく)を知った時、9月27日(頃)に葬儀をやってくれないかな、などと話をしていた。日本の国葬のばかばかしさが際立つだろうとも思うし、もしかすると、日本に来ると言っていた外国の要人達でそちらに行き先を変える人も出てきて、首相が国葬を取りやめにするという口実にも出来るのではないか、と期待するからだ。
 予想したことではあったが、昨日の、国会における首相自らの説明というのは無意味であった。それまでに談話その他で報道されてきたことから一歩も出ていない。
 ・・・あ、こうして書き始めると話が流れてしまう。今日の話題はエリザベス女王。私も衷心からご冥福をお祈りします。合掌。