節エネ策・・・絶対評価を併用せよ

 止めればいいのに、付け焼き刃のばらまき政策であるガソリン補助金は、またまた延長らしい。加えて、電気にも何らかの「負担軽減策」を実施するという話が出ている。具体的な内容はまだ明らかでないが、いずれ補助金ということになるだろう。
 私は、ガソリン補助金が公になった時から、止めればいいのに、と言い続けている。ガソリンの値上がりは構造的なものなので、いくら補助金を出しても際限がないからであり、CO₂排出抑制に逆効果だからであり、そもそも政府にお金があるはずがないからである。お金なんか、なければ国債を出すさ、くらいにしか考えていないに違いない。その国債の償還に縛られて、ガソリン代以上の急激な円高が進行しているにもかかわらず、金利を上げることができない。目の前の利益に振り回されて、自縄自縛に陥っている状態である。
 電気については、「負担軽減策」に先だって、節電ポイントという制度が始まった。「節電に取り組みます」という意思表示として、電力会社の節電プログラムに登録すると2000円分、その後は前年比の消費電力減少量に応じて、ポイントが加算されるという仕組みらしい。
 10年ほど前に、エコポイントという制度が設けられたことがあった。「グリーン家電」と言われるテレビ、エアコン、冷蔵庫について、それらをエネルギー消費量の少ないものに買い換えるとポイントが付く、というシステムだった。
 私は不満だった。なぜなら、例えばエアコンの場合、新型の効率の良いものに買い換えると、現金と同様に使えるポイントがもらえるのに、我が家のようにエアコンを持っていない家庭ではポイントはもらえない。しかも、いくら効率のいい新機種に買い換えるとはいっても、まだまだ使える機械を処分したのでは、本当にエコかどうかは分からない。どう考えても、エアコンを持っていない我が家の方が「エコ」である。
 今回の節電プログラムでも同様である。昨年より消費電力を3%減らせばポイントが増えるらしいが、元々、ほぼ極限まで節電している我が家には、なかなか難しい。エアコンがないだけではない。冬だって、床面積40坪ほどの家に、さほど大きくもないFF式のファンヒーター(機密性が高すぎて、だるまストーブが使えない)が1台あるだけで、しかも、燃費の関係で「微弱(仕様書上は1リットルで5時間)」でしか運転しない。テレビだって、20型という小さなものが1台あるだけだ。それも、見る時以外は常に電線が抜いてある。トイレの便座だって通電したことはないし(冬はシートを貼る)、ポットは昔ながらの魔法瓶。誰もいない部屋に電気が付いているなどあり得ない。ぜいたくらしいぜいたくと言えば、週に2回くらいパンを焼くために、1000wのオーブンをのべ70分動かすことくらいだろう。
 各家庭の条件が違うので、統計的な比較ができないのだが、恥を忍んで、参考までに我が家のエネルギー消費量を紹介すると、今年の場合、真夏である8月の消費電力は、4人家族で148kWh=5612円、真冬である2月は163kWh=5814円だった。ガス(コンロのみ)は、8月が5㎥で3298円、2月が7㎥で3717円。この他に風呂も含めた給湯用の灯油が、8月は1200円くらい、2月は1万3千円くらい。老母の面倒を見に行く回数が減ったので、車の給油はついに3ヶ月に1回以下になった(これ以上減らすと、車がダメになりそう)。大きく減らすためにできることがあるとすれば、風呂を湧かす回数を減らすことくらいだろうか・・・?
 ガソリン補助金は論外として、ポイントを付けるのは、それが本当に節エネを促すことになるのなら、必ずしも悪いとは言わない。だが、相対値だけでなく、絶対値による評価を併用すべきだ。相対的な節電に3000ポイントなら、絶対的な節電(内容では評価しにくいので、世帯の1人あたり何kWh以下、とか)は10000ポイントでもいい。エネルギーの節約を真面目にやる気があるのなら、自家用車を持っていない人や、東北・北海道でエアコンを持っていない人などは、特に手厚く遇するべきだと思う。