しつこく女川

 今日はまた女川に行った。呑み友達である仙塩地区在住のT君が、私のブログ記事(→こちら)を読んで、「どうしても『三秀』に行きたい」と言うから、「じゃあ、行こう」と応じたのである。しかし、昨秋以来3回の女川行きは、いずれも井内の奥からだったので、変化を持たせるために、今回はJR石巻線沢田駅から京が森~日向山と登山マラソンのルートをたどることにした。10㎞少々、いくら山道でも2時間強で着くだろうと見通しを立てた。
 仙台方面からやって来たT君を出迎え、9:33発女川行きに乗る。
 地形図を見ると、京が森の登り口に当たる県の射撃場がある峠のすぐ近くに神社がある。こんな神社、以前からあったかな?と思いつつ、沢田の集落の奥からその神社に上る小径が書かれているので、通れるかどうかは分からないが、確かめに行ってみよう、ということになった。
 倒木があったりして、さほど快適な山路ではないが、それでも、明瞭な道が付いていて、あっという間に峠近くまで上がったと思ったら、神社に行くためと思しき車道に出た。せっかくなので、神社も見ていくことにする。
 神社名を書いた以外に新しく立派な石碑が建っていた。「天津神龍神宮」と書かれている。そこから本殿に続く階段も新しく、上ると、簡素でこぎれいな本殿があった。中はご祈祷の真っ最中である。
 引き返すと碑の裏面が目に入った。平成20年に、創建10周年を記念して建てた碑だと書かれている。ここで思い出した。かつて南浜復興祈念公園に関する市民の会議に参加していた時、Sさんという人がいた。まだ30代半ばかというような人だったが、神主で、沢田に新しい神社を作ったという話をしていた。建物ならともかく、神社そのものを新しく作るなどということがあるのか?と、私は驚いた。そして今日、この神社はもしかするとSさんの神社なのではないか?と思ったのである。
 帰宅後、もらった名刺を確認してみると、確かに「天津神龍神宮」の宮司だと書いてある。本殿で、一心に祈祷をしていたのはSさんだったのだ。けっこう立派なホームページもある。「あまつかみだいりゅうじんぐう」と言って、「天津神龍神」を祭神とするらしい。平成10年というのは、あくまでも本殿が完成した年であって、歴史は平成3年までさかのぼれるらしい。宗教法人となったのは、平成20年のことだ。意外な所に意外な神社があるものである。びっくり。
 話、いや、道を元に戻す。
 車道が妙にグニャグニャしていたので、あまり遠回りになるのも嫌だと思い、少し藪を漕いで射撃場の峠に出ると、そこから京が森(280m)に登る。見晴らしもなく、今日一番しんどいと思った場所だ。京が森からは、ほとんど起伏のない快適な登山マラソンコースを安野平まで進み、いつもの車道を下ると、女川駅に12:10に着いた。少し気温は低めだが、微風快晴で、この時期としては最高の天気。T君は、きれいな沢に沿った安野平→日蕨の下り道がお気に入りだったようだ。
 今日は最初が三秀で、あとがユポッポ(温泉)。三秀には15分待ちで入れた。ここの焼肉飯と餃子のうまさ、ボリュームは文句がない。2時間あまりの運動の後のビールも美味い。
 風呂に入った後、休憩室でT君と語り合ったのは、400mくらいの山が町の近くにあって、町に下りると、徒歩3分の範囲にいい食堂と温泉と駅があるという所は他にないのではないか、ということだ。女川といえば、震災遺構がたくさんあって、海産物が美味いという印象ばかりが強いが、むしろそんな点にこそ魅力はある、と思った。
 風呂上がりに休憩室で呑む酒を手に入れようと、駅前の店に入ったら、女川町のキャラクターである「シーパルちゃん」の絵の入ったワンカップが、なんと私の好きな新澤酒造(「伯楽星」を作っている蔵)の「愛宕の松」である。女川町と新澤酒造がどんな関係にあるのか知らないが、こんないい酒が350円で売られていて、風呂上がりに呑めるというのも嬉しい(ユポッポの売店にもあった)。
 いやぁ、いい1日を過ごしたなぁ、と思いながら、14:55の列車に乗った。