気になる東京の舞台裏

 教え子による祝賀会の後は、そのまま仙台に泊まり、日曜日は娘と東京に行った。新宿で、娘の進学に関わる多少の用事があったからなのだが、その用事については今日は書かず、別のことだけ触れる。
 新宿に着いてから、少し時間があったので、新宿御苑に行くことにした。新宿駅からほど近い広大な緑地だし、安倍元首相の「桜を見る会」問題で有名になった場所であるが、実は一度も行ったことがなかった。数日前に、東京では桜の開花が宣言されたことでもあり、ある程度開いた桜を見ることが出来るのではないか、という期待もあった。
 予習せずに行ったので、多少回り道をする形になってしまった。新宿門という所に着いた時には、かなりの人で行列ができていた。入園料が500円要る。「御苑」と言うからには宮内庁が管理をしていて、例えば同様の施設である京都御所でも桂離宮でも入場は無料だから、当然、新宿御苑も無料だと思っていたので驚いた。来園者の半分くらいは外国人という感じで、その多さにびっくりした。マスクをしている人は半分くらいいるとは言え、もはや「コロナって何の話?」というような世界だ。
 並んでチケットを買い、再び並んで園に入る。広々とした芝生広場の解放感が心地よい。最初に見えた桜が、既に5分咲きを超えている。この後も、見れば3~7分咲きで、折からの快晴もあって、今が春の盛り、といった感じがした。
 日本庭園から旧御涼亭、風景式庭園と進み、温室、新宿御苑ミュージアム、旧洋館御休所(重要文化財)と回って、約1時間後、再び新宿門に戻った時には、入った時の数倍の人で、敷地の外、交差点の所まで列が伸びていた。
 用事が済んだのが14時半。遅い昼食を取ろうと店を探したが、新宿の人出というのは恐ろしいものである。安そうな店が少ない上、こんなに遅い時間でも行列、行列でごった返している。30分歩き回った末に諦め、お茶の水か神保町でカレーを食べることにした。 学生の街・お茶の水は、日曜日ということで、一転してとても静か。カレー屋で人心地着いて、娘とともに東京、いや新宿のパワーに圧倒されたことを驚き合った後、東京駅から新幹線で仙台に戻った。
 ところで、新宿駅や東京駅付近のビルというのは、仙台あたりのビルとはまったく違うスケールである。しかも、びっしりと建て込んでいる。私がそれらを間近に見るたびに感心するのは、それらのどこの部屋にも水道の蛇口があって飲み水が出、屎尿を始めとする下水を滞りなく流せるということだ。それでいて、大規模な浄水場下水処理場が目に付くということも、水圧が下がるということも、悪臭が漂っているということもない。
 特に東京駅界隈なんて、海までの距離がほとんどない。その間に、これだけ多くの人が垂れ流す汚水がどこかで処理され、害のない状態で海に流されているというのは驚異である。舞台裏が大好きな私は、結局、そういうことばかり気になるのであった。