すばらしき日本酒

 名古屋高裁で、同性婚を認めないことについて違憲判決が出た。憲法第14条と第24条の二つの条文に違反するとしたのは初めてらしい。
 私は4年前に、同性婚は認められるべきだという一文を書いたことがある(→こちら)。考えは今でもまったく変わっていない。そんな私としては、論拠も含めて、名古屋地裁の判決が良識的、と言うより、当たり前のものに思える。
 ところで、全然関係ない話、1週間ほど前に令和4年度全国新酒鑑評会の結果が発表された。出品された818点の中で、金賞を受賞したのが218点。昨年まで9年連続で金賞受賞数全国一だった福島県が4位に後退し、山形県がトップになったことが大々的に報道された。福島は14点、山形は20点だそうである。ちなみに宮城県は8点だ。
 あまり大騒ぎすることでもないだろう、と思う。だいたい、一般の報道では県ごとの出品数(分母)が書かれていない。数で勝負するなら、分母は多い方が有利に決まっている。その県の酒造りの水準を示す指標として使うなら、金賞受賞の「数」よりも「率」の方がいいはずだ。
 私が比較的事情をよく知る宮城県を見てみると、金賞受賞8点の中に、一ノ蔵の2種類の蔵の同銘柄の酒が、2点としてカウントされている。一方、私のお気に入りの「伯楽星」(新澤酒造)は入っていない。他にも「あの酒は?」と思いながら探しても見つからない酒がけっこうある。それらが落選したのか、そもそも出品されていないのかは分からない。出品された818点のリストというのが探せないからだ。
 つまり、出品はおそらく任意だろうから、いい酒でも出品されていないものもあるかも知れないし、落選した酒の中にもいいものがあるかも知れない。どの蔵から何という酒が出品されたのかが分からない以上、金賞受賞数によって評価できることは何もないのだ。
 思うに、現在、日本酒は平均して非常に高品質である。あの酒が美味い、この酒はまずいと言っても、さほど大きな差ではない。昔のような、べたっと甘い酒や、麹かび臭い酒などほとんど見ない。おそらく、日本酒、更に言えば純米酒であれば、8割以上は「美味い」と思って飲める酒のような気がする。たいていの酒は、あまり通ぶって細かい難癖を付けようとしなければ、十分に「美味い」のである。818点中218点(約27%)が金賞と言うと、ずいぶん金賞を安売りしているように見えるが、私には、むしろ少ないくらいに思える。
 まぁ、何でもそうなのだが、人の評価など当てにしてはいけない、ということなのだな。「この酒は金賞」とか、「この酒は入賞」とか意識せず、自分の感覚を頼みに呑めばいいのだ。家で一人で飲むならともかく、酒の味は酒以外の要素、すなわち誰と、何を食べながら、どんな店で呑むかにも大きな影響を受けるし・・・。