損をしたのは誰?

 週末は、恒例の教育研究集会(教研)兼家族旅行で、昨年と同じ川渡温泉「玉造荘」に行っていた。毎年同じようなことを書きたくはないが(→昨年の記事)、今年も参加者を集めるのには苦労した。
 当初、我が塩釜高校からは、私以外に若い講師の先生が参加してくれることになって喜んでいた。ところが、申し込みの数日後、「別な予定が入ったので行けません」と西キャンパスから校内電話で連絡があった。その後、廊下で会っても知らん顔。よく分からない感覚だ。
 秋の集会の時には、各学校の知り合いに電話かけをして、校内での呼びかけをお願いしたのだが、効果は実感できなかった。そこで、今回は、学校ごとではなく、個人に直接働きかけをすることにした。私のつてで3〜4名は来てくれたので、こちらのやり方の方が効果はあるみたい。
 それでも、参加者は2日間で86名である。泊まりがそのうち43名だったか?私が教員になってから間もなく、この研修会が最大規模になった時は、200名前後の参加者がいたから、無残と言うべきか、意外によく持ちこたえていると言うべきか・・・?
 教研の主管は教職員組合の教文委員会という組織なのだが、不肖・私はその副委員長である。そのため、夕食時に乾杯の音頭を取ることになった。「かんぱ〜い!」とやる前に、短いスピーチをする。以下、その内容(少し補足あり)。

「私は学校で生徒に何かの課題をさせる時、必ず提出しろ、と言うものと、出しても出さなくてもいいぞ、と言うものがあります。出しても出さなくてもいいというのは、平常点にならないのですが、すると生徒の中に、出すのは損だと言う者が出てきます。本当は、せっかくの勉強のチャンスで、平居先生が添削してくれるとなれば、それが点数にならなくても、出さなければ損だ、となるはずなんですけど・・・。
 この教研は任意です。貴重な土日をつぶし、自分でお金まで払って参加しています。それによって県や管理職が誉めてくれるわけではありません。平常点にならない課題を提出するのは損だ、という感覚からすると、絶対に損です。しかし、ここに来ることによって、小野田先生の素晴らしいお話を聞くことが出来、県内のいろいろな先生方と、授業その他、日常の教育実践や悩みについて語り合うことが出来るのですから、やはり損なのは、来なかった人たちであるはずです。
 ぜひ、来て得をしたと実感できるいい2日間にしましょう。」 

 小野田先生とは、大阪大学大学院教授・小野田正利先生のこと。教員と保護者の関係について、早くから研究してこられた方で、その人間性の魅力や巧みな話術などもあって、2年以上先まで講演の予定が埋まっているという超人気講師である。私たちも、5年前に1度来ていただいて、腹を抱えて笑うと同時に、そのお話の内容に深く感動した(→その時の記事)。1人でも多くの若い先生に、先生の話を聞いて欲しいと思い、今回再び来ていただくことにしたのである。期待はまったく裏切られることがなかった。
 私が出た国語の分科会(初日)にも、新学習指導要領の分科会(2日目)にも、20代の先生が2名ずつ参加してくれて、新鮮な話し合いが出来た。
 「教研は夜作られる」という言葉もあるとおり、夜は夜で酒を飲みながらの交流会が延々と続いた。私は午前2時で挫折したが、3時までやっていた猛者もいたらしい。新しい若い友人も増えたし、楽しかった。
 う〜ん、どう考えても損をしているのは来なかった人たちだよなぁ。私にとっては間違いなく、「来て得をしたと実感できるいい2日間」であった。