人物

おめでとう ほやマン(続々)

20日の新聞各紙では、中教審が、教員の教職調整額を、現行の4%から10%以上に引き上げるという文科省案を了承したことが大きな記事になっていた。残業の線引きが難しい教員は、残業代を支給しない代わりに教職調整額=基本給の4%というのが、一律に…

おめでとう!ほやマン

石巻が-6℃まで下がった先週の火曜日、朝、通勤の途中でスッテ~~ンと転んだ。路面は凍っていたが、完全な平坦地である。なぜ転んだのか分からない。とにかく一瞬にしてひっくり返ってお尻から落ち、その後、後頭部を打った。後頭部はたんこぶさえ出来なか…

中村哲についての授業

勤務先の学校は、先週月曜日から木曜日までが修学旅行だった。旅行期間中は、2学年に所属する教員が不在となるので、通常の時間割での授業が成り立たない。そこで、午前中4時間の特別編成時間割となる。 12月上旬までに、残留組の教員から希望を聞き、担…

即身仏

羽黒山の後は、即身仏である。 即身仏とは、生きながらにして仏になった僧侶のことである。厳しい修行の末、地下の穴に鉦を持って入り、地上との間は節を抜いた竹一本。外にいる人とは、鉦の音が聞こえなくなったらその竹に栓をする、という約束になっている…

意識の上と下(和合亮一氏のことなど)

昨日、国語の秋季大会に行ったこと、私は今年役員であるが特に仕事と言うほどのことはしなかった、というようなことを書いた。実は、一つだけ少し大きな(らしい)お仕事をした。記念講演の謝辞を述べる係である。 通常は、宮城県高等学校国語教育研究会の副…

教師と教えること

夏休み中に、「バーンスタイン コンダクツ バーンスタイン」という安いDVDを買った。タイトルの通り、バーンスタインの自作自演映像である。収録されているのは、ディベルティメント、セレナード、そして交響曲第2番「不安の時代」の3曲。「不安の時代…

自分の身体と親密な議論を重ねる

(2023年8月31日付け「担任のお話」№17より) 今日で8月もおしまい。それでも、まだまだ暑い日は続きそうだ。私が高校時代の瀬戸内とほとんど同じような気候だと思う。 ところで、昨日から今日にかけては満月。なんと、今月2回目である(青くない…

さよなら ほやマン

昨日の夕方、ひょっこりと2名の卒業生が訪ねて来た。一人は、かつてこのブログにも登場したことがある(→こちら)映像作家・庄司輝秋(42歳)である。 ちょうど10年前に、文化庁の助成を受けて、30分の映画『んで、全部、海さ流した』を作ったが、そ…

セロ弾きのゴーシュと音楽

昨日紹介した『宮澤賢治の聴いたクラシック』によると、賢治の弟・清六氏が小学校に入った明治40年ころ、宮澤家には既に蓄音機があったそうである。ただし、両親を始めとして身近な大人たちが義太夫を好んでいたことにより、レコードも全て義太夫関係のも…

宮澤賢治と音楽

今月に入ってから、勤務先の図書館で谷口義明・渡部潤一・畑英利『天文学者とめぐる宮澤賢治の宇宙 イーハトーブから見上げた夜空』(丸善出版、2022年)という本を見つけて読んだ。「銀河鉄道の夜」を始めとして、言うまでもなく、宮澤賢治の作品には天…

再びヘルベルト・フォン・カラヤン

もう10年以上前の話になるが、指揮者ヘルベルト・フォン・カラヤンについての一文を書いた(→こちら)。学生時代以来、外見ばかり磨き上げたような演奏に思えて好きになれなかったが、いろいろな人が彼について書いた文章を読んだりしているうちに、少し見…

天路の旅人

沢木耕太郎が、西川一三をモデルとした小説『天路の旅人』(新潮社、2022年10月)を書いたこと、それが沢木の代表作と言えるようになるかも知れない傑作だということなどは、新聞やネットの情報で知っていた。先日、何という番組だったか憶えていない…

美術は愛であり自分

今週は、なんと3回も宮城県美術館に行った。水曜日から今日まで、そこで高校生美術展が開かれていて、私は今年、美術部の顧問だからである。コロナ以前なら、搬入・展示作業に生徒が参加できたものを、今は(まだ!)顧問だけで来なさい、というお触れが出…

歩いて読響・・・小林編

小林研一郎(コバケン)は、私が大学時代(1980年代)、5年にわたって宮城フィル(現仙台フィル)の首席客演指揮者を務めていたこともあって、比較的多く聴く機会があった。今回、少し気になったので調べてみたら、なんと11回も聴いている。今回が1…

ブロムシュテッド!!

(タイトルは変わったが、昨日の続き。) 今回放映された演奏は、どれもすばらしい演奏である。ウィーンフィルは、名人芸にも支えられて正に王者の風格。コロナ禍ということで、わずか35人にメンバーを絞ったルツェルンは、その響きの明晰さと、きびきびと…

ヴォスの「駅長さん」物語

今月号の岩波書店『図書』に、亀淵迪(かめふち すすむ)という物理学者が「ヴォスの『駅長さん』物語」(以下「物語」と略)という文章を書いている。私の教え子、もしくはこのブログを熱心に読んで下さっている方は、「ああ、あの人!」もしくは「あの文章…

吉田秀和没後10年

5月末から先週まで、朝日新聞で「ことばを奏でる」という連載をしていた。吉田秀和没後10年に当たっての追悼企画である。懐かしいと言うか、面白いと言うか・・・古き良き時代に接するような感慨を持って読んだ。 私が特に面白いと思ったのは、連載第4回…

合計で258歳!!

ゴールデンウィークが終わった。私は、4月23日(土)に授業参観・学年PTAがあった都合で、5月2日(月)が代休となったため、7連休であった。そして、今日学校に行くと、支部総体のため、次は11日(水)まで授業がない。休みの日にすることには困…

カービー氏の沈黙

今日の毎日新聞で、アメリカ国防総省の報道官カービー氏が、29日(現地)の記者会見で、「現地の状況を見れば」と言ったところで9秒間沈黙した、という記事を読んだ。記事によれば、「プーチン氏やロシア軍がウクライナでしてきたことを見れば、倫理的、…

権力の性質(毛沢東とプーチン)

まとめに入る。 毛は比類のない軍事戦略的能力のゆえに、中国共産党の指導権を握った。抗日戦争→解放戦争(国共内戦)を終えて、新しい国家の建設に入ると、することは大きく変わる。軍事的な戦略能力が、新国家の建設・運営に通用するとは限らない。しかし…

権力の性質(毛沢東の場合)・・・その6

権力者としての毛沢東を見ていて思うのは、「自分が正しい」という独善(もしくは、絶対の自信)と、国民の命の軽視である。 前者は、戦時中に様々な戦略的意志決定を行ってきた延長線上にある。トップの人間が、「このやり方で行く」となれば、そこに迷いを…

権力の性質(毛沢東の場合)・・・その5

第7回党大会で、指導権を完全に掌握した毛沢東は、その後も戦略家としての類い希なる才能を発揮し、国民党に対しても勝利を収めた。 問題は1949年10月5日の建国後である。共産党が連続した組織である都合で、毛の権力は新国家においても継承された。…

権力の性質(毛沢東の場合)・・・その4

毛沢東が言うように、戦争では、常に臨機応変の迅速な判断が求められる。しかも、戦略能力というのは天賦の才能であるようだ。凡人が何人もで会議を開くのではなく、天才が一人で即断即決するのでなければ、勝ちは望めない。そんな中で、毛に権力を集中させ…

権力の性質(毛沢東の場合)・・・その3

紅四軍において指導権を掌握した毛沢東は、その指導権を強化するため、1930年12月に富田事件を起こした。党内に反革命組織がいるというタテマエの下、多くの党員を逮捕、処刑したと言われる。いかにも、紅四軍内での指導権を握ったことによって、仮面…

権力の性質(毛沢東の場合)・・・その2

これらの方針の徹底として、毛は軍内に兵士委員会という組織を作った。これは大きな権限を持つ組織である。将校は、兵士委員会の監督を受けなければならなかった。将校が間違ったことをすれば、兵士委員会が制裁を加えることさえできたのである。 これらの民…

権力の性質(毛沢東の場合)・・・その1

昨今の不穏な情勢を見ていて、なぜこれほど滅茶苦茶な人間が権力者の地位に就くのであろうかと思う。一方で、私の専門である中国の現代史を見てみれば、プーチンに勝るとも劣らない専横の大御所・毛沢東がいる。私は昨年、毛沢東の権力掌握過程の初期につい…

素朴で幸せな世界・・・野村万作氏登場!

今日は、2時間早く退勤して、家族でまきあーとテラスに狂言を見に行っていた。まきあーとテラスとは、昨春オープンした石巻市民会館(市立博物館等を含むので、正しくは複合文化施設と言う)である。 実は、昨年3月28日にこけら落とし公演として狂言が予…

中国の長老

もはや3日も前の話になるが、この石巻でも震度6弱の地震があった。私は入浴中であったが、確かに経験したことがないような強烈な揺れで、しかも長かった。東日本大震災の時はゆさゆさという揺れだったが、今回はガタガタという揺れで、浴槽の湯はあふれる…

小林秀雄について(5)

普通に考えれば、前の小林の発言は、「開き直り」と言えるだろう。小林が戦時中大陸を訪ねた時に書いた文章は、決して戦争を美化するとか、侵略行為を正当化するとかいったものではないが、文学報国会の役員となったことや、その立場で、おそらくは戦意高揚…

小林秀雄について(4)

(3)を書いた時、私は「本居宣長」を用いて、小林が宣長を借りてどのように自己表現をしたか、ということを書きつなぐつもりだった。ところが、ふと「歴史」に寄り道してみようかという気持ちが兆した。 小林秀雄の歴史認識に関して論じた多くの文章の中で…