2007-01-01から1年間の記事一覧

美観の価値

校舎の北側では、地下鉄工事が本格化している。私のいる部屋からはその様子がよく見えるので、時々ぼんやりと眺めていたりするのだが、最近特に気になるのは、「電線」の醜さである。工事に大量の電気を使うと見えて、大きな自家発電機を据え付けた上に、以…

HISの歴史に思う

(裏面:11月23日朝日新聞「自由な旅応援したい HIS」大平要筆引用) 一私企業についての記事をあえて載せたのは、私は、この会社の成長・変化の歴史が、現代日本の海外旅行文化史そのものだと思うからだ。 私が1983年1月に、当時「秀インターナ…

一流は小技を使わない

考査中の11月30日、教員向けの「校内進路研修会」という会が開かれた。毎年1回、全国の「一流」らしい公立高校の先生を招いて話を聞くのである。私のような天の邪鬼でも、案外面白いと思う。今年来たのは、岡山県立岡山朝日高校の先生であった。やはり…

教室がバッチイと尾瀬の教訓

11月27日のLHR「社会的マナーについて」は、急遽ディベート形式を取った機転もあり、盛り上がってよかった。「掃除」の問題に絞って議論をしたことも、かえって良かっただろうと思う。 意外だったのは、教室の掃除をする必要があるかどうかで、「必要…

七五三

土曜日は、我が娘の七五三のお参りということで、岩沼市の竹駒神社へ行った。だいたい不信心な上、儀式というものが大嫌いなので、周囲の者にブツブツ言われながら、私もブツブツ言いながら行くのである。 しかしながら、そもそもなぜこんな儀式があるかと言…

食の不祥事

雪印、不二家、白い恋人たち、ミートホープ、赤福、比内地鶏、船場吉兆・・・余りに多すぎて訳が分からないほど、食品関係の不祥事が続く。食品以外でも、諸君の大先輩たる某元防衛事務次官の賄賂(めいた)話もなかなかのスキャンダルだ。これだけ続くと、もは…

エノラ・ゲイの機長

(11月3日朝日新聞 ポール・ティベッツ氏の訃報引用 ティベッツ氏は広島に原爆を投下したB29エノラ・ゲイ号の機長だった人) 奇しくも読書会で『夏の花』を扱って僅か10日余りの先週末、こんな訃報が各紙に載った。太平洋戦争やら原爆というものが、…

『夏の花』読書会

いつも、年に一度は読書会をしなさいと図書館から言われはするが、40人という人数の多さや時間的制約、そして何よりも、自分の思いを人に向かって述べるのが苦手という日本人の国民性とによって、実施はなかなか容易ではない。それが今回、曲がりなりにも…

SLの衝撃

週末は、持ち帰り仕事さえない純粋な連休であった。私は二日間、童心に戻って蒸気機関車(SL)の追っ掛けをしていた。地元・石巻線に、33年ぶりとかでC11なる蒸気機関車が走ったのである。 私は、物心付いた頃には、日本中のごく一部を除いてSLが消…

文系・理系の本質

高校における文理選択は、至って便宜的・形式的なものだ。それは、大学入試で数学3・Cと物理を使うかどうかだけの問題だ。つまり、文系と理系なのではなくて、「数3・Cと物理を使う系」「使わない系」であり、それらが必要なければ、理学部や工学部希望…

ある二人の女性の死

(10月3日朝日新聞 猿橋勝子氏、10月4日同 若桑みどり氏の訃報引用) 先週の水曜日と木曜日、二日続けて、高名な二人の女性の死が報ぜられた。 まずは猿橋氏。もちろん「猿橋賞」で有名。仙台でも、2年前に東北大学の数学科の教授が受賞して話題にな…

登山禁止の我が身

週末、山岳部の新人大会に行った。私は、病気療養中の身の上、しかも大会は学校単位の行動ではない(つまり顧問が自分の学校を面倒見るわけではない)。そこで、長年勤めてきた女子隊係の職を泣く泣く返上し、麓の温泉宿で、お金の勘定その他の下界業務に従…

ダディンジュ(ビルマの火祭り)

早くも10月。昨日までの四連休は、半分以上を部活と採点とに費やし、何となく釈然としない気分であったが、その前の週末はちゃんと休みで、珍しく家族で東京に行っていた。たくさんあった目的のひとつに、ある友人を訪ねるというのがあった。その友人とは…

ある卒業生の結婚式

先週の土曜日は、前任校で担任をした生徒の結婚式に出席した。私の教員としての人望の無さもさることながら、最近は結婚式(披露宴)をしないとか、「地味婚」で親族だけとかいう風潮が非常に強いので、卒業生の結婚式というのは本当に久しぶりであった。 「…

休まない学校

先週の金曜日、夜中からうるさいなあと思っていたのだが、朝5時に布団から出て外を見ると、バケツをひっくり返したような大雨であった。これでは学校どころではない、とテレビの台風情報を見ながら朝食を取っていたところ、絶対に動いているはずのない電車…

小田実の死と朝鮮高級学校の閉鎖

(裏面:7月31日朝日新聞 小田実の訃報、及び8月15日同紙「朝鮮学校で東北では唯一・・・高校、09年度廃止検討」守真弓筆 引用) 8月恒例の戦争に関する記事はどれも興味深く読んだ。環境問題についての記事がいつになく多かったが、私のように「貧し…

一人遅れた新学期

一人新学期が遅れてしまった。7月に、15年来の持病(今話題のC型肝炎)が突如暴れ始めたため、8月14日から自宅の近所の市立病院で入院生活を送っていた。 入院生活とは言っても、週に一度注射を打ち、採血をし、朝夕食後に薬を飲むということ以外何も…

ブクステフーデの『最後の審判』

台風、地震と散々な週末であった。もっとも、私は、土日、部活で山へ行く予定だったが、目的地が少々危うい場所であったこともあって中止となり、おかげで日曜日が人並みの休日となって、尚絅女学院の礼拝堂に音楽を聴きに行くことが出来た。 部活のためにあ…

原爆正当化論の是非

(裏面:7月5日朝日新聞「根強い「原爆正当化論」」三浦俊章筆引用) 「原爆正当化」とはケシカラン、と直ちに思うのは感情的に過ぎると私は思う。この問題の難しさは、原爆での死者が○十万人と事実として存在するのに対し、原爆を投下しなかったらと言う…

参議院選挙とナチスの教訓

今月は参議院議員選挙が行われる。選挙の最大の争点は年金問題、次が景気対策だそうである。昨日の『河北新報』に載っていた、立候補予定者に対するアンケートによれば、なんと89%の人が、年金問題等の社会保障改革を最優先課題に挙げていたというから驚…

沖縄戦の「歴史問題」

(裏面:6月23日付毎日新聞「きょう沖縄『慰霊の日』地獄絵今も忘れぬ・・・集団自決「軍の強制」教科書から削除」三森輝久、上野央絵、松本光央筆を引用) ここでも大きく触れられていて、今問題になっている「教科書検定」は、数ある教育問題の中でも、と…

教育実習の功罪

先週の木曜日、すなわち定期考査初日に教育実習が始まり、今年は大挙14名の大学生が実習に入った。 実習が考査初日に始まるというのは実習を出来るだけ実質的に短いものしようという学校の姿勢の表れである。つまり、教育実習は授業の進行の妨げになる迷惑…

手記「妻の死」

先月出版された自著を、「お礼」や「記念」としてあちらこちらに送ったところ、ポツリポツリではあるが、「受け取り」もしくは「お礼」とも言うべき手紙が来る。著書を通してしか知らなかった人や、年賀状だけの形式的な付き合いになってしまっていた人から…

試験の功罪

(進路部発行「卒業生便り」(=浪人生に対する激励文集)に寄せたもの) 元気で勉学に励んでいることと思う。私も元気だ。新学期が始まって1ヶ月経ち、ようやく足が無意識のうちに4階へ向くということがなくなってきたが、新入生に対してカルチャーショッ…

大会でのリタイア

県総体が終わった。私は山の大会に行っていた。山で何を競うのか?とは、実にしばしば聞かれることで、答えは長くなるので今は触れない。登山がスポーツとして認められるためには「試合」が必要だ、という情けないほど貧しい発想で生み出された(と推測され…

「鉄腕」逝く

(5月22日毎日新聞、野口二郎氏の訃報引用) 私は毎日、新聞を手に取ると、訃報から読むことにしている。生きている人間は常に変化し続けているので評価のしようがない。その人物がどのような人間であり、どのような仕事を遺したのかということが評価でき…

卒業生からの便り

先々週、先週と立て続けに、あまり事務的でない葉書とメールが卒業生から届いた。 まずは葉書。これをくれたのは、私が8年前に前任校で3年生の時に担任したK君。某国立大学の医学部に進み、このたび、めでたく医師の国家試験に合格、「ご挨拶」という訳だ…

成長を続ける人

5月4日の夜、いわゆる「ぎっくり腰」というやつをやってしまい、歩くこともままならない情けない状態で、ゴールデンウィーク後半の、そのまた後半を棒に振ってしまった。 その「ぎっくり腰」の直前、5月4日の日中、山形県米沢市に住む87才の某ご老人を…

入学式生徒宣誓秘話

一高の簡素な入学式を見ていて思うこともいろいろあるが、ここでは、生徒代表の宣誓について裏話を一つ紹介しておこう。 代表のK君を「指導」したのは一応私である。3月24日予備登校の際、彼には昨年度の宣誓文を渡し、「非常に形式的な儀式なので、全く…

私にとっての「故郷」と高校時代

入学おめでとう! 私は大阪府豊中市で生まれた。45年も前のことである。父親は普通の工場労働者だったが、転勤が多かった。その都合で、幼稚園は岩沼市(当時は名取郡岩沼町)、小学校は名取市、名取市で中学校に入学したが、2年生の夏休みに転校し、中学…