私にとっての「故郷」と高校時代



入学おめでとう!

 私は大阪府豊中市で生まれた。45年も前のことである。父親は普通の工場労働者だったが、転勤が多かった。その都合で、幼稚園は岩沼市(当時は名取郡岩沼町)、小学校は名取市名取市で中学校に入学したが、2年生の夏休みに転校し、中学校と高校は兵庫県の龍野市で出た。大学は仙台である。両親の生まれは三重県京都府である。そんな私が、初対面の人と話をする時、必ず尋ねられ、答えに困るのが、「どちらの出身ですか?」というものだ。大阪は1歳半までしかいなかったので記憶も愛着もないし、経過をいちいち説明するのは面倒だ。時間的には、宮城県に住んでいた時間が圧倒的に長いが、家の中が関西弁で、宮城への文化的な帰属意識は希薄である。結局、最近は単に「龍野」と答えることに決めてしまった。

 たとえ便宜的にとはいえ、なぜ、私が、僅か4年半しか住んでいない町を「出身地」もしくは「故郷」として挙げるのだろうか。それは、今の私に最も大きな影響を与えているのが「高校時代」だからだと思う。私にとって、高校時代はそれほどまでに重い。そして、諸君にとっても、やがてはそうなるのではないだろうか?人生の中でもひときわ重い、諸君の高校生活が今日始まった。そんなかけがえのない時間に立ち会えることを大変嬉しく思うと共に、諸君がその時間を充実した実り多いものに出来るよう、健闘を期待している。