2009-01-01から1年間の記事一覧

重い腰を上げる

毎週、週の初めに名前のない学級通信もどきを出している。「もどき」である。これでも一応需要があるらしく、クラスが変わった時に、継続的に欲しいと言われることが結構多かったので、今は授業に出入りする全てのクラスで配るようになった。冒頭に日付と、…

背中を見せてくれる人

何ヶ月か前の朝の打ち合わせで、元本校教員・穂積達郎先生から著書が寄贈されたという話があったのを思い出し、図書館で借りて、この1ヶ月ほどパラパラとページをめくっていた。この先生は、事情があって、生徒のいない所で定年退職を迎え、その後一年だけ…

現在のアメリカ国旗

(12月15日河北新報 ロバート・ヘフト氏の訃報引用) 先週は、経済学者・サミュエルソンなどという大物が亡くなったりもしたけれども、面白かったのはこちら。 私はアメリカの国旗なんて、全く単純に、州の増加に合わせて星の数を増やしてきただけ、と思…

受動態と能動態

山岳部のOB会から、会報に現役生の文章を載せたいという依頼があり、先週末がその締め切りであった。木曜日に生徒からB5で4枚という作文が、まずは私宛提出された。なかなか立派な作文だったのだが、ひとつ、とても気になる表現上の特徴があったので、…

里山の楽しさと教訓

(11月29日「天声人語」引用) 冒頭にでかでかと掲げるほどのものでもない。二人の碩学の死にちなんでのコラムだが、例によって訃報、というものでもない。ただ私は、「里山」という言葉の歴史をこのコラムで知り、驚いたのである。なんという温かさと静…

最後には「愛」

考査の中日であった先週の日曜日、今春定年で退職したK先生という方の退職祝いの会に出席した。私は初任の学校で同僚だったというのが最初の縁で、自宅が近かったこともあって、以来20年余りに渡って、公私共々お世話になった。およそ、世の中で最も頭の…

当事者だけが持つ力

昨日、ビルマ人政治亡命者M・A氏の特別講義を4クラスで行ったが、どのクラスも態度はすこぶる良好、質問も出て、僅か50分の「概説」に過ぎなかったが、多少貴重な見聞は広まったのだろうと思う。どんなことでも、その体験の当事者が語る時と、それ以外…

レビストロースって誰?の意味

先週の月曜日、某クラスでこのプリントを配ったところ、「レビストロースって誰?」という声が漏れた。私への質問というより、思わず漏れた、という感じの声だった。あれだけ新聞記事を引用したんだから、それを読めば分かるだろうと思い、また、実際そのよ…

天気図は夢の地図

授業も模試もない週末、私は不幸にして(?)山岳部の諸君と山へ行っていた。もっとも、通常の山行ではなく、高体連登山専門部なる団体が主催するリーダー研修会で、テントではなく、少年自然の家という立派な(?)施設泊まりだったのが救いであった。土曜…

剣岳・点の記

7月に、久しぶりに映画館で映画を見た。『剣岳 点の記』という作品である(原作は新田次郎の同名の小説。私は大昔に既に読んだことがあったが、少なくとも細部はほとんど忘れていた)。ずいぶん評判になった映画であるが、それは昨今の中高年の登山ブームの…

考えて野球せい!

休校問題、授業中の雑談、現代文の授業・・・と、最近、諸君の脳が多少なりとも活性化し、身の回りの様々なことについて「考える」傾向にあるのを実感するようになっている。 「考える」すなわち、物事を疑い、根底から問い直す、ということが、諸君と接するに…

マーラーの第9交響曲

週末、土曜日の夜は、仙台市内の某アマチュアオーケストラが、グスタフ・マーラーの第9交響曲を演奏するというので、授業が無くて外出の口実も作れない中、前々から妻にお願いして許可をもらい(笑、涙?)、1ヶ月以上前から周到に予習(復習?)を重ねて…

能動性への道(授業の雑談考)

2016年のオリンピックが、ブラジルはリオデジャネイロに決まったという話にコメントを求められたことをきっかけに、私がリオに行ったこともあったものだから脱線し、その後は各クラスのノリのよさに応じて、最近少々寄り道が多い。 私は以前から余談を求…

若者と義理人情

週末は予告通り、山岳部主催の「山小屋体験宿泊会」とやらで、学校の山小屋に行っていた。結局、部員以外の参加者はたったの6名。マイクロバスをキャンセルするわけにもいかないために強行開催し、赤字経営となった。 それはともかく、生徒が水汲みやら食事…

父を失う

周知の通り(?)、一高祭初日に当たる8月29日の夜、父が逝去したので、授業があまりなかったこともあって、先週はお休みをいただき、「長男」業務に専念していた。長く患った末の死だったので、今のところさしたる感慨もないが、やはりこれは大きな出来…

槍ヶ岳のビール

8月1〜6日、信州北アルプス、槍ヶ岳へ行った。有名な山ではあるが、私は初めて。私は、人のごちゃごちゃいる所が、あまり好きではないので、山岳雑誌あたりでその盛況を見ては、敢て「敬して遠ざけ」(論語)ていたのである。今年は、山岳部生徒諸君の強…

海軍反省会

8月は原爆忌、終戦記念日とあって、毎年様々な報道からいろいろなことを考える。今年も多くの報道に接したが、8月9〜11日、NHKで三夜に渡って放映された「海軍反省会」についての番組は、特に印象的だった。 太平洋戦争当時の海軍将校が、1980〜…

世界最高齢の小学生

(夏休み中の訃報から、8月16日キマニ・マルゲ氏のものを引用。マルゲ氏はケニア人で、90歳。ギネスブックに、世界最高齢の小学生として認定され、獣医となることを目指して勉強していた。) ケニアが仮に日本と同じ学制を取っていたとすると、この人が…

総選挙とクレーマー

いよいよ衆議院の解散、総選挙だそうである。テレビのニュースを見ていると、各党の重鎮や街行く人にマイクが向けられるのをよく目(耳)にするが、多くの人が決まって口にするのは、「今の日本の政治はダメだ、政治を変えなければ大変なことになる」という…

有罪か有罪でないか

進路講演会で居眠りをして生徒諸君のひんしゅくを買った私も、こちら(司法講話)は真面目に聞いていた。特に、S弁護士の話は明快で、しかも大切なことを言っていたと思う。復習しよう。 「裁判員制度の実施へ向けた模擬裁判を見ていると、検察官と被告の言…

トルコと旅行の価値

ある近しい親戚がトルコを旅行して帰国し、土産をやるから出て来い、と声をかけられたので、土産はどうでもよいが、土産話は聞かせてもらおう、と出かけて行った。私も大昔、僅か3週間ほどながらトルコには行ったことがあった(1度目はイランからバスで国…

定額給付金と倹約令

中間考査で一週間とばした間に、夏至があり、沖縄戦の終戦記念日があり、マイケル・ジャクソンが死んだ。 ところで、その考査の最中、我が家に「定額給付金を振り込みました」なる通知の葉書が届いた。景気刺激の目玉とか言って、日本全国の家庭にばらまいた…

職業よりも学問

個人面談をしていて、「大学では○○を勉強したいのは分かっているのですが、将来どんな職業に就きたいのか分かりません」と恥ずかしそうに言う人が何人かいたので、それは胸を張ってよいことだ、と言った。現在、いくら就きたい職業があっても、今後、大学を…

なぜ大学はタダでなければならないか

(裏面:6月11日朝日新聞「なぜ大学はタダでなければならないか=金銭になじまぬ認識・感情」白石嘉治筆を引用) 日本の大学(特に国公立)が、他国では考えられないほど金がかかるというのは有名な話。私は、この白石というフランス文学者の高尚なる論と…

ハーモニカの驚き

先々週の土曜日、私は久しぶりで仙台フィルの定期演奏会に足を運んだ。相当無理して時間を捻出してまでわざわざ出向いたお目当ては、和谷泰扶(わたにやすお)なるハーモニカ演奏者であった。 ハーモニカなどという楽器は、魚類におけるかつてのイワシのよう…

国際化時代の学部選択

以前から、国境を股にかけて「国際的」な仕事をしたいという人は多い。グローバル化が進み、これくらい海外へ行くことが特別でなくなると、逆に、外国へ行かなくて済む仕事を探そうという人が現れてきそうなものだが、そういう声は聞かない。今や「外国へ行…

県総体余話・・・一流は美しい

県総体に出なかった我が山岳部は、磐梯山に独自の山行を行い、二日で活動を終了してしまった。おかげで暇になった昨日は剣道の会場に足を運んだ。会場が自宅から近いということもあったが、今年の剣道部は強いということをしばしば耳にしていたので、その快…

やりたいことを大切に

この100年で最悪と言われる不況下だからかも知れないが、現在の社会状況をベースに将来の生き方を考えている人が少なからずいた。しかし、僅か1年前に、就職は売り手市場と言われていたことから分かるとおり、諸君が大学を卒業する5年後(6年後?)に…

泣き虫しょったんへの夢

(5月16日毎日新聞「脱サラ瀬川四段 C級2組に昇級」を引用) 今日は訃報ではない。おととし、全国読書感想文コンクール高等学校の部で課題図書になった『泣き虫しょったんの奇跡』(講談社=面白い!)が、この瀬川晶司という人の自伝だったので、ふと…

川瀬牧場の意味

「一日のうちに四季がある」とは、チベットの気象を表す言葉である。多少大仰だが、昨日はそんな一日だった。朝から雨降りで、海には台風の時のような大波が打ち寄せていた。午後は急に晴れ間が広がり、海の波も落ち着き始め、庭の木々や名残のチューリップ…