若者と義理人情



 週末は予告通り、山岳部主催の「山小屋体験宿泊会」とやらで、学校の山小屋に行っていた。結局、部員以外の参加者はたったの6名。マイクロバスをキャンセルするわけにもいかないために強行開催し、赤字経営となった。

 それはともかく、生徒が水汲みやら食事の準備やらをしている間、私はエコーラインの所に置いてある薪を小屋に運ぶ作業に汗を流していた。本当は、OB会の諸氏と現役とで8月のうちに運搬を完了していなければならないものだが、人手がなかなか確保できないため、冬を目前にしながら、まだ残っているのである。あと1ヶ月もしないうちにエコーラインは通行止めになるので、状況は絶望的だ。

 山岳部のOB会も高齢化が進み、年々、あの巨大な山小屋を維持してゆくことが難しくなっている、と私は感じている。否、この言い方は正しくない。OB会は、山岳部員が減ったとは言っても、ほとんど毎年若いメンバーを迎え入れ、名簿には若者もそこそこ名前を連ねているのである。だから、実際に高齢化はしていないのだが、様々な会議や作業に出て来るのがほとんど40歳以上の人ばかりで、若者が姿を見せないために、高齢化していると思ってしまうのである。

 静かな山の夜、同行の某先生達とそんな話をしていたところ、最近、世の中の様々な団体で高齢化を嘆く声をよく耳にするが、山岳部のOB会と同じ構造の「高齢化」が多い。どうしてこんなことになるのだろう、どうも今の若者には義理人情が欠けているのではないか、だから「先輩にずいぶん世話になったから、今度は僕がしっかり後輩の面倒を見なくっちゃ」とか「先輩が頑張っているのに、僕が何もしないわけにはいかない」とかいう考え方ができず、面倒だと思うと「じゃ、バイバイ」になってしまう・・・などという話になった。真偽は知らない。若者である諸君は、こんな話を聞いてどう思うのであろうか。