2014-02-01から1ヶ月間の記事一覧

少数派に付き、損な選択をせよ

(明日は卒業式。以下は本日配布された生徒会誌『錨想』に3年生の担任として書いたもの。もっとも、この文章、私は誰に読ませるつもりなのだろう?生徒がこんな文章読むわけないし、親も同様。このブログの読者が読むには、あまりにも平凡陳腐。へへへ・・・多…

王陽明『朱子晩年定論』のことなど・・・私の学問史(9)

(三) 前に引用した徐愛の『伝習録序』に見られたように、言葉を薬としてのみ考え、それ故ひとつの表現に立ち止まることを極度に警戒した陽明は、当然のこと、自分の言葉を後世に遺すことには極めて否定的であった。 嘉靖6年(1527年)4月、門人・鄒…

王陽明『朱子晩年定論』のことなど・・・私の学問史(8)

* 前述のとおり、陽明は『定論』の中に、朱子以外の人物の手による文章として唯一、呉澄の書簡を収めている。陽明によって「晩年」の朱子の学を最も正しく継承したと評価される呉澄の学は、朱子学を基礎としながらも、陸象山の思想を多分に取り入れたもので…

王陽明『朱子晩年定論』のことなど・・・私の学問史(7)

(二) 正徳9年(1514年)、43歳の時から、陽明は断続的に約2年にわたる南京暮らしを始める。この時期に陽明は、『朱子晩年定論』(以下『定論』と略記)という一書を編集した。この書は陽明の序文に続けて、朱子の書簡34通(但し字句の書き換えや…

人と人とをつなぐ言葉

日付がデタラメであるが、もうひとつ遡って触れておこう。 先週木曜日の午後、河北新報社で行われた「NIE実践発表会」というのに行った。他の小中学校6校とともに、我が宮城県水産高等学校が2年間のNIE(Newspaper in education=教育に新聞を!)研…

楽しく不安な教研集会

昨日から、家族で秋保温泉に行っていた。必ずしも温泉旅行ではない。宮城県高等学校・障害児学校教職員組合(高教組)主催による「教育講座」という名前の研修会に参加していたのである。我が家は夫婦で組合員だし、子どもは温泉大好きだし、大人の分の宿泊…

白内障の手術

昨日の記事と順番が逆になるが、今週は月曜日にお休みを取り、平成眼科という病院に行った。私が病気なのではない。老いた母親が白内障の手術をするというので、付き添いに行ったのである。 病院があまりにもきれいで感心した。思えば、一昨年、人間ドックで…

ブルックナー指揮者・小泉和裕

仙台フィルの第280回定期演奏会に行った。昨年2月に続き、今年も小泉和裕氏がブルックナー、しかも、あまり演奏される機会のない交響曲第1番(リンツ稿)を演奏するというので行ったのである。 小泉和裕という指揮者については、昨年こんなことを書いた…

王陽明『朱子晩年定論』のことなど・・・私の学問史(6)

(このブログに掲載するに当たって、漢文の引用を口語化するとともに、本文の言葉も必要に応じて平易なものに改めたり割り注(括弧書き)を加えたりする。その他の注は専門的、もしくはマニアックなので、一つを除き割愛。口語化については、注がなくても一…

私の学問史(5)

二度目の非常勤講師は、信じられないほどスムーズだった。私なりに、一度目の失敗で何かは得たのだろうと思う。生徒からもそれなりに相手にされるようになり、休日は、女子生徒たちがよく私の家に遊びに来た。 一方、大学では、まったくデタラメな修士論文『…

タコと闘う

(2月18日付け学級通信より) 週末、天気予報を見ながら、また大雪になったらどうしよう、と、ビクビクしながら過ごしていたが、杞憂に終わってよかった。1回くらいなら大雪も新鮮だが、もともと町が大雪を想定して作られていないので、移動もままならず…

再び「佐村河内守」

分野・種目に関係なく、「一流」大好きの私は、オリンピックも大好きだ。今回は、時差の関係で、なかなか生では見られないが、なぜかゴールデンタイムに生中継の多いカーリング、本当に面白いなぁ。やはりスポーツは、ルールが単純で、勝負が客観的にはっき…

私の学問史(4)

大学院入試の口頭試問で、「アルバイトをせずに2年間勉学に専念できますか?」という質問があった。修士課程の2年間は、研究者としての基礎を作る重要な時間だ、アルバイトなどしている暇はないぞ、ということだ。 大学院1年生の8月だっただろうか?私が…

私の学問史(3)

私は、教養部の2年生の時に、思いもかけない科目(「健康科学」!)の単位を落として留年してしまった。教養部に3年いた都合で、私が中国哲学の研究室に入る直前に、私が中国学に進むきっかけを作って下さった金谷治先生は定年を迎え、退官されてしまって…

私の学問史(2)

東北大学の文学部は、当時1学年160名の一括募集で、3年生になる時に専攻(研究室)を決めることになっていた。ただし、それぞれの専攻に進むためには、2年生の時に取っておかなければならない単位というのがあるので、結論を先延ばしにしようと思えば…

私の学問史(1)

一昨日、「学問」に関することを少し書いてから、自分の学問史とも言うべきものを整理しておこうか、という気になった。ありのままを正直に書く、というわけにはいかないかも知れないが、そこに含まれる多少の紆余曲折が、もしかすると高校生〜大学院生にと…

完結した「学問」世界

石巻は38センチの雪。91年ぶりだという。朝起きた時にはまだ降り続いていたので、景色もよく見えなかったが、昼頃からは晴れて絶景となった。それでも、居間で風景を眺めながらのんびりコーヒーを飲んでいるわけにはいかない。雪かきを始めると、量が半…

調理師養成施設になった!

(2月7日付け学級通信より・・・その2) 【「調理師養成施設」になった!!】 さる1月24日、東北厚生局という役所から宮水に、「調理師養成施設」として認めるという通知があった。これによって、来年度から設置される調理類型を卒業すれば、同時に調理師…

「百人一首」狂騒曲

(2月7日付け学級通信より・・・その1) 親からゲーム機を買ってもらえない「かわいそう」な子どもたち(=もちろん我が家の話。ブログ読者で知らない人は、昨年12月20日記事参照→こちら)は、遊ぶ物を求めて家の中を物色した結果、「百人一首」というカ…

これは面白すぎる!

昨日から佐村河内守に関する「事件」が大きな話題になっていて、私のブログへの入場者数も驚異的な数になっている。が、私にとって特別な思いのある記事でもないので、ま、それはそれ。昨日書いた以上のことを付け加えて書く気はなかった。ところが・・・。 帰…

音楽は裏切らない

佐村河内守という人の作った曲が、世間で大きな話題になっていることについて、昨年の夏に一文を書いたことがある( →こちら)。私自身はその価値がよく分からない、マスコミの報道や演奏会のマネージメントの仕方には怪しいものを感じる、ということを書い…

ファジル・サイの『春の祭典』

アバド指揮によるマーラーの交響曲第4番に感動して、その後も繰り返し聴いていたのだけれど、ファジル・サイによる『春の祭典』を入手し、一休み、こちらを聴いてみた。 ファジル・サイはトルコ出身のピアニストで、まだ43才。近年、テクニシャンとしての…

漁業後継者を育てる

私は、内容が自分の主義主張に反しない限り、学校の内と外とを問わず、頼まれた仕事はあまり断らないようにしている。昨年7月4日に、そうして書いた最近の文章を紹介したのを覚えておられる方もあろう。その後、11月末だったかに、漁船保険中央会という…

罪を問うということ・・・少年への死刑判決

2010年に石巻市で3人を殺傷した少年の控訴審判決が出た。一審どおり「死刑」である。事件を起こした当時18才だったこともあり、裁判員裁判による判断だったこともあり、何かと話題の多い判決だった。 私は「死刑」廃止論者である。「死刑」が残虐な刑…