少数派に付き、損な選択をせよ



(明日は卒業式。以下は本日配布された生徒会誌『錨想』に3年生の担任として書いたもの。もっとも、この文章、私は誰に読ませるつもりなのだろう?生徒がこんな文章読むわけないし、親も同様。このブログの読者が読むには、あまりにも平凡陳腐。へへへ・・・多分、書いた時に私の頭の中にあったのは職員室の同僚たちだ。)


   価値あるものほど維持するのは難しい


 私はこの3年間、以下の3点をしつこく繰り返してきた。

・逃げるな・・・究極の「逃げるな」は「自分自身の弱さ」からである。

・自立せよ・・・自分でできることは自分でする。人に甘えない。

・背伸びせよ・・・一段階レベルの高いことをしようとして始めて人間は成長する。

 これらとは別に、もうひとつ、私がしつこく繰り返してきたことがある。それは、「世界を広げなさい」ということだ。自分の目の前だけを見ていれば、人に迷惑をかけていることにも気が付けない。インターネットのくだらない書き込みがその典型だが、そんな人が有権者として投票すれば、将来の社会全体にダメージを与えることになる。国の借金1000兆円(1人あたり800万円!)も、そうして作られたものだ。

 今、私たちは、人類の歴史の中にほとんど現れたことのない奇跡のような「平和」と「豊かさ」の中で生きている。ところが、残念ながら、この世には「価値あるものほど維持するのが難しい」という法則、「利益は目前に、より大きな不利益が将来に」という法則がある。

 平和と豊かさの中で、目先のことだけ考えながら浮ついた生活をする。そこには既に、次の悲劇の芽が生まれている可能性が高い。防衛と領土の問題、情報公開と民主主義、環境問題とエネルギーや資源の確保、社会保障・・・こういったあらゆることの中に、それらは見え隠れしている。

 全ては難しく、面倒くさい。だが、それを嫌がっていては平和も豊かさも守ることはできない。悲劇の誕生に気がついた時には、既にその暴走を止められない。大人の生き方もお手本にはならない。大人の平和ボケも相当なものだ。これからの時代は諸君が作る。

 弱い自分から目を背けず、人任せにせず、広い世界に目を配りながら、自分と社会のより一層の成長を目指して生きていって欲しい。


(全教員からの「一人一言」コーナーは次の通り。)

卒業おめでとう。人生に迷った時は「少数派」に付き、「損」な選択をせよ。それが「正しさ」に近づく道である。