2019-01-01から1年間の記事一覧

少子化の中で哲学

いつぞや書いたことなのだが、私が教員として何をライフワークにしているかといえば、それは生徒に「哲学」を教えるということである。自分の担当教科が何か、ということはさほど問題にはならない。 では、「哲学」とは何かと言えば、「それって本当なの?」…

狭い了見を克服せよ・・・冬季課外

昨日に続き、「学年だより№32」を引用するところなのだが、いきさつが分からないと理解できないので、まず最初にそれを書いておく。 今日と明日の2日間、「冬季課外」なるものが予定されていた。「やる」ということだけ決まっていて、具体的に何をするか…

年賀状を出そう

塩釜高校は今日が終業式(正確には「キャンパス集会」)。塩釜神社のモミジもちょうど全ての葉が落ち、初詣の準備が始まった。年の瀬を感じるいいタイミングだと思う。 (12月24日付け「学年だより№32」より①) この数日、年賀状を書くのに忙殺されて…

追悼マリス・ヤンソンス

11月30日に、指揮者マリス・ヤンソンスが死んだ。76歳。指揮者としては今からの10年間が円熟の時期だったのに。惜しい。 ただ1度、仙台でヤンソンス指揮の演奏会に行った時の話はかつて書いたことがある(→こちら)。ヤンソンスが曲とオーケストラ…

国家予算を見ながら思う

一昨日、来年度の予算案が閣議決定された。しょせん「閣議決定」に過ぎないのだが、それが「決定」とほとんど、いや、すっかり同じ意味を持つのが最近の日本だ。 総額は「102兆円」という数字が新聞各紙に踊っていたが、正確には102.66兆円なので、…

この親にしてこの子、だろうか?

元農水省事務次官でチェコ大使をも歴任した熊沢某氏が息子を殺したことについての判決が、今週の月曜日に出た。この事件と裁判の経過について、私は、他人事ではないと、かなりの緊張感を持って気にしていた。そういう人は多かったのではないか? 法廷で明ら…

非常識で親切な人々

(12月16日付け「学年だより№31」より) 師走も半ば。私も人並みに「大掃除」くらいはする。先日、自室の大掃除をしていたら、机の中から、何枚かの切手が入った古い封筒が出てきた。1983年11月~12月、私がイラン旅行していた時に買ったもの…

これは圧巻!!

何しろ、人の予定を合わせるのは難しい。「ラボ」だって、主催者2人と講師、計3人の都合さえ合えばよいので、なんとかやっているだけの話である。これが、主催者が5人いて、講師と合わせて6人の都合の合う日、などと言っていては、2ヶ月に1度の開催な…

まずは講師について・・・ラボ第21回

昨夜はラボ・トーク・セッション第21回であった。講師は海洋研究開発機構(JAMSTEC)の特任技術副主任・大木健氏(33歳)。演題は、「未知のフィールドをロボットで探る」。 今回のラボは、幾つかの点でこれまでのラボとは違っていた。まず、ラボ…

おい、そこが分岐点だよ

(12月12日付け「学年だより№30」より) (冒頭に12月6日付け河北新報コラム「河北春秋」貼付) 先週の水曜日、アフガニスタンで現地の人々の生活支援をしていた医師・中村哲氏が殺された。特別な地位を持っているわけでもない個人の死が、これほど…

抽象的価値を重んじる余裕・・・電線の地下化をめぐって

(12月9日付け「学年だより№29」より②) (裏面:2019年11月19日付け朝日新聞「列島を歩く」欄、「『無電柱化』広がる議論」)(以下 平居コメント) 私は毎朝、塩釜駅で電車を降りると北上し、塩釜神社と塩釜高校の間の谷底を東西に走る道(県…

「夢」は何ですか?

(12月9日付け「学年だより№29」より①) 2年生の修学旅行もあっと言う間に終わり、また「日常」が戻って来た。2週間あまり前、№27で、塩釜神社で最も紅葉の遅い七曲り坂下り口のモミジが間もなく盛り、ということを書いた。ところが、「間もなく」…

音楽の原点に立つ

職場で私は、一番端っこの席に座っている。だから、お隣さんは1人しかいない。そのお隣さんは音楽のA先生で、仙台ニューフィルハーモニーというアマチュアオーケストラの首席トランペット奏者でもある。1ヶ月ほど前、A先生から「平居先生、これ要りませ…

見えると安心、仙台のED75

ちょっとした用事があって、午後、仙台に行っていた。 東仙台駅と仙台駅の間には車両基地がある。正式にはJR東日本・仙台車両センターと言うらしい。元々「鉄男」であった私は、車両基地が大好きなのだが、最近は、新幹線と普通列車だけという単純化によっ…

話せば分かる、か?・・・中村哲氏を悼みつつ

医師の中村哲氏が殺された。今手元にないので何という文章だったか確かめられないが、高校現代文の教科書に、氏自身の文章が載っていて、私は中村哲という人物を知った。すごい人だと思った。医師だという共通点があるからかも知れないが、佐久総合病院の故…

あんた、本当に興味あるの?

(12月2日付け「学年だより№28」より②) 先々週末、東北学院大学を始めとする仙台市内の各大学で、推薦・AO入試の合格発表があった。そこで、先週月曜日から火曜日にかけての放課後、結果報告に来た多くの3年生で、東職員室もにぎわっていた。「先生…

大変なのは民主化の先

(12月2日付け「学年だより№28」より①) かれこれ半年間、香港では民主派と呼ばれる学生を中心とした勢力が、共産党一党独裁で強権的な中国政府に対する抗議活動を続けている(って知っているよね?)。ぼんやりと政治的に無反応、熱狂できるのはスポー…

「第9」偉大なる成熟とアイデア

今日は、仙台にベートーヴェンの「第9」を聴きに行っていた。東北文化学園大学が主催、無料のコンサートである。思えば、私はこの1ヶ月に、3度も音楽を聴きに行った(既に書いた先週木曜日のスウェーデン放送合唱団の他、11月10日仙台市民交響楽団創…

ひどく気弱でお人好しな日本人

このブログの記事は、新聞記事に触発されたものが多い。しかし、それは話のきっかけであったり、情報そのものの価値によるのであって、記事に書かれた意見が「う~ん、なるほど。こんな考え方もあるのかぁ」と私をうならせた結果であることは、さほど多くな…

寒い夜に北欧の熱い合唱団

昨夜は、東北大学の川内萩ホールで行われた、ペーター・ダイクストラ指揮するスウェーデン放送合唱団の演奏会に行った。チケットをいただいた上、かわいい合唱部の生徒を6人臨時引率である。仙台駅からホールまで歩く道すがら、寒いなぁ、これはどう考えて…

大木健氏「高校生向け公開講座」

(11月25日付け「学年だより№27」より) 菊祭りが終わった塩釜神社は、そのタイミングを待っていたかのように、モミジの紅葉が始まった。1本のモミジの木の色づき始めから完全に落葉するまでをじっと観察してみると、本当にドラマチックだ。 枝先から…

鈴木孝夫「ものとことば」の授業(2)

まず、「児ありけり。」(『宇治拾遺物語』「児の空寝」より)。授業で何て訳した?生徒:「児がいた」。私:どうして「児」は「児童」の「児」なのに、「子ども」って訳さないの?・・・そう、今の「子ども」とこの文章の中の「児」は意味が違うからだよね…

鈴木孝夫「ものとことば」の授業(1)

考査直前、授業で鈴木孝夫の「ものとことば」という評論を読んだ。構成が非常に明快。第3段落の冒頭が、「抽象的な議論はこのくらいにして、具体的なことばの事実から考えていくことにしよう」となっていながら、そこで語られる具体例が、それ以前の「抽象…

どうしても「日本史の汚点」だ

安倍政権が、憲政史上最長の域に達した。この事については、既に、マスコミでも多くが語られているが、あまり肯定的な評価にはお目にかかっていない。私も、まったく気が滅入るばかりである。 「現在の利益と将来の利益は矛盾する」というのは、私がしばしば…

恐怖!「鶴の一声」

今週は、火曜日から今日までが定期考査であった。授業がないから楽ちん!とはいかない。考査の前後1~2週間は、日本で一番(と言うのはさすがに大げさか?)暇な高校教員である私でさえ、息つく暇もないくらいに忙しいのである。考査の作問と採点が膨大な…

「役」は「役」でいいではないか

女優・沢尻エリカが、薬物使用の疑いで逮捕された。先月、徳井義実が所得税にかかわる申告漏れで活動自粛に入った。春にはピエール瀧が、やはり薬物使用で逮捕、有罪判決を受けた。共通するのは、NHKの大河ドラマ出演者だということだ。目立つ番組だけに…

新聞大崩壊!?

先週の水曜日、仙台の河北新報本社で行われたNIE(Newspaper in education)の高校部研修会というのに出席した。県内某高校の教諭が、夏に行われたNIE全国大会の報告をし、その後、某全国紙の仙台支局長が「新聞 デジタル化の今」と題した講演を行った…

ベルリンをめぐる思い出

一昨日、「ベルリンの壁崩壊30周年」に触れた「学年だより」の記事を載せた。それに関連して、自分とベルリンの関係(と言うほどのものではないのだが・・・)を少し書いておこう。いろいろと社会的問題を含む話になる。 私は、東西冷戦最中のベルリンに行…

素直に心を開くことができる

(11月15日付け「学年だより№26」より②) 芸術鑑賞会について、学校としてのアンケートや感想文の課題というものはなかったが、翌日、1学年の某クラスでは担任が独自にアンケートを取った。それによれば、A~Eの5段階評価で、Aが約75%、Bまで…

ベルリンの壁崩壊30周年

(11月15日付け「学年だより№26」より①) ○○何周年シリーズ、というわけではないが、先週の土曜日は、「ベルリンの壁」崩壊30周年だった。「ベルリンの壁」とは、昔、東ドイツの中に飛び地として存在していた西ベルリンを封鎖し、東(社会主義体制の…